金融機関の8割超、AIによる顧客サービスの個別化を模索――今後のトレンドは
NTTデータの調査によると、世界の金融機関の8割超が顧客向けサービスの個別化へのAI活用を模索しており、実際に多くの金融機関が他業種とエコシステムで提携しつつ、「顧客ごとに個別化されたプロアクティブなサービス」の開発/提供に取り組み中であることが分かった。
NTTデータは2021年2月24日、金融機関の顧客向けサービスへのAI(人工知能)活用に関するグローバル調査の結果を発表した。
それによると、「デジタルに精通した“新しい消費者”は、個人の事情に合わせた推奨意見(財務アドバイスなど)の提供を金融機関に期待しており、そのための追加的支払いや個人情報提供にも前向き」であり、「顧客の獲得/維持を目指す金融機関の多くは、金融以外のサービス業者ともエコシステムで提携しつつ、AIと顧客データの活用による『個別化されたプロアクティブ(先取的かつ能動的)なサービス』(個別化プロアクティブサービス)の開発/提供に取り組み中」であることが分かった。
なお調査は、金融機関がAIを使ってどのように顧客を獲得し、維持できるのかを探ることを目的に、世界8カ国(日本、米国、英国、ドイツ、スペイン、イタリア、ブラジル、メキシコ)の金融機関(銀行、証券会社、資産運用会社、カード決済分野など)と消費者を対象に2020年12月に実施。金融機関のシニアエグゼクティブ476人(うち日本は50人)から、消費者は18歳以上の4807人(うち日本は600人)から有効回答を得ている。
8割以上の金融機関がAI活用による顧客獲得/維持の取り組みを重視
金融機関にとって、長年の取引関係の中で蓄積された大量の顧客情報は独自の強みであり、AIとこうした顧客データの活用による個別化プロアクティブサービスは、競争上の強力な優位性となり得る。
調査結果によると、金融機関の8割強が「AIは、顧客を獲得/維持する上での戦略上重要な地位を占める」との考えを持っていることが分かった。
また、顧客を獲得/維持する上での最大の課題は、「顧客ごとにアドバイスをカスタマイズして提供するためのAIとデータの活用」であると考えていることも分かった。
NTTデータでは、その理由を、AIの実装は容易ではない上、活用への明確な戦略が整っていないケースが少なくないためと分析している。
消費者が金融機関に期待する役割とは?
一方、消費者を対象にした調査からは、別の側面も見えてきたという。
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