クラウドサービスの中身をオンプレミスで提供 HPEの“大いなる狙い”とは?:Weekly Memo(1/2 ページ)
日本ヒューレット・パッカードが「オンプレミス環境でも従量課金で利用できるサービス」として注力している「HPE GreenLake」。最新動向の説明があったのを機に、その“大いなる狙い”について探っていきたい。
「HPE GreenLakeは、オンプレミス環境を『as a service』の従量課金で利用できるサービスとして進化している」
Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HPE)の小川光由氏(取締役 常務執行役員 Pointnext事業統括 兼 ストラテジック・アライアンス統括本部長)は、同社が2021年3月17日に開いた「HPE GreenLake」(以下、GreenLake)の最新動向について、オンライン記者説明会でこう強調した。
どう進化しているのか。説明会を聞いた筆者は、GreenLakeがHPEはもちろん、企業向けIT市場にとっても大きなインパクトを持つと感じた。その内容について探っていきたい。
オンプレミス環境にクラウドエクスペリエンスを提供――その意図は?
HPEは今「2022年までに全てのポートフォリオを『as a service』として提供可能にする」との目標を掲げ、ビジネスモデルの転換を図っている。その新たなビジネスモデルとなるのが、「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するためのプラットフォーム」を描いた図1だ。
この図の内容については、2020年12月21日掲載の本連載「HPEの戦略にみる『新たなDXプラットフォーム競争』とは」を参照していただくとして、全体として示しているのは上記の目標そのものである。付け加えておくならば、GreenLakeの対象にはパートナー企業のパブリッククラウドサービスなども含まれている。
このGreenLakeは、小川氏によると「HPE GreenLake Cloud Services」(以下、GreenLake Cloud Services)を正式名称としている。その意図は、オンプレミス環境でも従量課金で利用できるだけでなく、クラウドサービスと同等のユーザーメリットを実現した「クラウドのエクスペリエンス(体験)」の提供にある。
図2は、GreenLakeの進化を表したものだ。小川氏によると、全世界規模で10年前に提供を始めたハードウェア保守中心のサービス「HPE Flexible Capacity」から、2017年に対象範囲を広げて管理ソフトウェアなどを拡充した従量課金サービスのGreenLakeとなった。そして、GreenLake Cloud Servicesでは、これまでカスタムメイドだったインフラをさまざまなワークロードと合わせてパッケージメニュー化するなど、先述したようにクラウドサービスと同等のユーザーメリットを追求している。
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