読者調査で分かったDX推進プロジェクト運営体制の課題:経営者「とにかく何かやっときなさい」
「よく知らないけれど、とにかく何かDXをやっておいて」との命令が下る組織はどのくらいあるだろうか。読者調査で見えてきたのは、DX推進体制の現実と経営層の意識とのちぐはぐさだった。
ITmedia エンタープライズ編集部は「読者調査2021DX編」を実施した。ITmedia エンタープライズ読者を対象にオンラインのアンケート形式で回答を募り、346件の回答を得た(調査期間:2021年1月21〜29日)。ここでは数回に分けて結果を分析していく。本稿はその中でも、媒体読者におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の体制や課題を見ていく。
DX推進中の企業は7割に、だが楽観視できない実態も
調査では、まずDXの着手状況について計画の有無や着手状況を尋ねた。その結果、「実行に向けて準備中(戦略策定済み)」が17.1%、「策定予定はあるがまだ未着手」が26.9%となり、回答企業の44.0%が実行に向けた準備中から戦略策定予定がある段階だった。実行中とした回答30.1%と合わせると、実に7割超が何らかのDX施策を策定〜実行中であることが分かった。
この調査の1年ほど前、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が発表した「デジタル化の取り組みに関する調査」*でも、デジタル化の取り組み状況において、トップランナー企業が39.4%、セカンドランナー企業が45.0%と、8割近くが一定以上のデジタル化を進めていることが明らかになっている。デジタル化が推進される状況が、今回のDX着手企業の割合からも見て取れる結果となった。
* 日本システム・ユーザー協会と野村総合研究所の共同調査「デジタル化の取り組みに関する調査」。JUAS会員企業のCIO(最高情報責任者)やIT部門・業務部門・経営企画部門・デジタル化推進部門の役員・管理職、情報システム子会社の社長、役員、管理職336人を対象とした調査。調査期間:2019年12月〜2020年1月、有効回答数160)。
ここまでの情報からは日本企業においてもDX推進が本格化しつつあると見て取れるが、今回のアンケートでは楽観視できない発見もあった。
DX推進は「経営者」の方針、推進リーダーは「別人」
関連記事
- DXレポート2を解説する 「デジタル競争の敗者」にならないために取るべき行動とは
経産省は2020年12月28日、前回から大幅にアップデートした「DXレポート2(中間取りまとめ)」を公開した。同レポートで語られる、DXの推進に向けて企業の具体的に取るべきアクションとは何か。本稿は、数回にわたってレポートをかみ砕く。 - データドリブン経営基盤の構築、アルペングループが語る「内製化を失敗させない」3つのポイントの意味
EC市場の拡大やD2Cビジネスに代表される取引先メーカー自身の独自販売チャネル開発が盛り上がる中、IT資源にも相応の投資をしてきたリテール企業はどんなDXを進めるべきだろうか。1000万SKU、500万顧客の情報を抱え、レガシーシステムと「Excel集計」業務からの脱却に挑むアルペングループが今本気で向き合うDXの状況を聞いた。 - 中小企業のDX推進を強力に促進 政府が支援する4つの領域と今後の展望は?
短期連載「DXレポート2をかみ砕く」の第3回は、企業が取るべき超短期〜中長期のアクションに対して政府がどのような支援策を提案しているのかを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.