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「100%内製は難しい」自治体はDXをどう進める? RPA導入から3年、茨城県庁が出した現実解マイナンバーが“壁”になる場合も

コロナ禍で進む非対面業務のニーズやデジタル庁の発足を機に、自治体のDXが進み始めている。企業と違って職員の異動が多く、法規制がからむ業務もある中、無理なく必要なデジタル変革を進められる体制をどう作るのか。数年間取り組みを進めた担当者に、県庁と受託企業が協力しながら作り上げたという体制や課題を聞いた。

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 デジタル庁が発足し、官公庁や自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み始めている。ただし、具体的に各自治体が今まで紙主体だった業務のデジタル化や効率化をどう進めるかは、それぞれの判断や戦略次第だ。必要に応じてベンダーと連携し、現場の理解を得ながらデジタル技術の導入を進める体制をどう作ればいいのか。

 先行して取り組みを進める自治体の一つが茨城県庁だ。デジタル県庁の実現に向け、ICTを活用した業務の生産性向上や働き方改革を推進している。2017年度からは「いつでもどこでも効率的に仕事ができるICT環境づくり」を掲げ、次々と施策を講じてきた。

 中でも積極的に取り組んでいるのが、RPA(ソフトウェアロボットによる業務の自動化)の導入だ。「ICTでできることはICTに任せる」という方針の下、2018年度から段階的にRPAを導入し、2019年度から2020年度には40業務での導入を実現した。2年間で5万8924時間の業務時間削減を見込んでいる。特に2020年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止協力金の支払処理にもRPAを活用した。

 スムーズにRPAを導入している背景には、数年かけて無理のない導入の仕組みや受け入れ体制を整えてきた努力がある。RPAの導入を始めたばかりの2018年にも本誌の取材に応じた同県庁に、2年間の軌跡を聞いた。

新型コロナ協力金、年間5万件近い支払処理も自動化

 茨城県庁でRPA導入を取りまとめるのが、調整監兼DX推進監(県庁DX推進プロジェクトリーダー)の菊池睦弥氏だ。同氏は「協力金支払いの審査は、ある程度手作業にならざるを得ない部分はありますが、支払い処理はRPAを最大限に活用しました」と話す。2019年度に開発した2つのソフトウェアロボットを活用し、給付業務を自動化した。その結果、1件当たり12分かかっていた処理時間を2分に短縮できたという。

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