マックやKFCも 大手チェーンでドライブスルーのIT投資が過熱、その理由は:Restaurant Dive
大手ファストフードチェーンの間で、ドライブスルー店舗の設備を拡大し、新たにIT技術を導入する動きが相次いでいる。その背景には、コロナ禍で消費者の行動やニーズそのものが後戻りしない勢いで変化する現実があるというが、一体何が起こっているのか。
McDonald'sやKFC、Taco Bell、Burger King――誰もが知る大手ファストフードチェーンの間で、ドライブスルー店舗へのIT投資が過熱している。その背景には、コロナ禍で大きく様変わりした消費者のニーズや市場の変化があるというが、一体どのような課題が生じているのか。また、そうした課題を企業はITやビジネス変革でどう解決しようとしているのか。
市場調査サービスを手掛けるSeeLevel HXは2021年9月、飲食店のドライブスルー店舗1500件を対象にした年次調査(出典1)の結果を発表した。ファストフードを中心とした「クイックサービス」セグメントの平均サービス速度は2021年時点で382.39秒となり、2020年(356.80秒)から約26秒遅くなった。
2021年は注文の処理精度も低下した。2020年には全注文のうち不正確に処理されたものが13%あったが、2021年は15%に悪化した。調査によれば、不正確な注文処理が発生した場合、正確な注文よりも1分以上(71.06秒)対応に時間がかかるという。
SeeLevel HXのリサ・ファン・ケステレンCEOは、2021年の変化について「レストラン業界における労働市場の逼迫(ひっぱく)やサプライチェーンの課題、インフレなどに起因している」とコメントしている。
変わる消費者のニーズ 大手の間で相次ぐドライブスルー向けIT投資の中身は
ドライブスルーの待ち時間が長引く大きな要因が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だ。ほぼ非対面で注文が済むドライブスルーの注文量が増え、結果として1件当たりの対応時間が長引いている可能性がある。
COVID-19の発生初期、店内での飲食ができなくなったことで、ファストフード大手のMcDonald'sでは、受け付ける注文の90%近くをドライブスルーが占めるようになった。
関連記事
- スタバ vs. ドーナツチェーン デジタル店舗戦略は「コスト削減の真逆」のトレンドへ
コロナ禍でのテイクアウトやデリバリー向けの飲食需要の高まりを受け、飲食業界ではモバイルや店舗外サービスといった業態に注目が集まっている。デジタル販売専門店の設置方法でも各社が収益力強化にしのぎをけずる。従業員満足度と利益のどちらも最適にする方法を見つけたあるチェーン店の施策に業界が動く。 - “データ多過ぎ”時代のIT戦略、変わるポイントは? サプライチェーンの場合
足りない知見を補いたい企業が“データ不足”に悩んでいた時代は終わり、今度は大量のデータをどうさばくか悩む時代が到来しつつある。データから望む知見を引き出し、同時に費用対効果も上げるために必要なポイントとは何だろうか? サプライチェーン管理の視点から考えてみよう。 - 「良い物を作るだけでは売れない」老舗和菓子店がマーケティングにAIを導入した理由とは
2019年、創業200年超の和菓子屋がマーケティングにAIを導入した。現場の勘や職人の経験が生きる業界で古い伝統を守りつつ新技術を取り入れて成長を続ける、老舗の挑戦を追った。
© Industry Dive. All rights reserved.