DXを支える業務変革の鍵「プロセスマイニング」の価値とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
DXの最新技術として「プロセスマイニング」が注目されるようになってきた。どんな技術なのか。企業に何をもたらすのか。この分野の草分け的ベンダーであるCelonisの日本法人社長にこのほど就任した村瀬将思氏に聞いてみた。
「プロセスマイニングって知っていますか? 企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を完遂させる最後のピースですよ。この技術を活用したソリューションを展開している企業に移ったのでよろしく」
今回はこんなやりとりが発端となって取材した内容をお伝えしたい。上記の会話の相手は、ドイツに本拠地を置くCelonis(セロニス)日本法人の代表取締役社長に2021年12月1日付で就任した村瀬将思氏である。
村瀬氏といえば、前職のServiceNow Japan社長を約6年間務め、同社のビジネス拡大に大きく貢献したエネルギッシュな経営者だ。同氏のインタビューと共に「プロセスマイニング」について解説したい。
プロセスマイニングとはどのような技術か
プロセスマイニングとは、企業におけるさまざまな業務活動のログデータを取得して分析し、業務プロセスを可視化することで現状の把握や業務改善につなげる手法のことだ。
村瀬氏は図1を示しながら、「従来あるプロセス分析とデータ分析の技術の間にあるギャップを埋める役割を担う。あらゆる所に遍在するイベントログ(実行記録データ)から可視化することで、仮説でなく、事実に基づいて問題を診断できるようになる」と説明した(図1)。
プロセスマイニングは2010年頃にドイツの大学などで理論や手法が考案され、その後、製品化されて欧州で広がり、2010年代後半には北米にも広がっていった。ただ、日本ではまだ注目され始めたばかりで、普及はこれから。2020年10月には「一般社団法人プロセスマイニング協会」も設立され、機運は高まっている。
Celonisはプロセスマイニング技術研究の第一人者でドイツ アーヘン工科大学教授のウィル・ファン・デル・アールスト(Win van der Aalst)氏の理論を基に2011年に創業した。アールスト氏は現在、同社のチーフサイエンティストとしても活動している。
同社はプロセスマイニング分野の草分け的存在だ。同時に「Celonisのプロセスマイニングを活用した業務管理ソリューションは世界で3000社を超える導入実績を持ち、過去4年間の売上高は倍増ペースで、Gartnerの調査によると、この分野のグローバルシェアはおよそ8割を占める」と村瀬氏が語るように、同分野のガリバー的存在でもあるようだ。
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