コロナ禍の製造業を襲う「サプライチェーン停滞以外の大問題」とは:Supply Chain Dive
製造業の足を引っ張るのは物流だけではない。小売売上高は増えたのに、製造業者を苦しめる2つの要因とは?
植物由来の代替肉を扱うBeyond Meatの創設者兼CEOであるイーサン・ブラウン氏は2021年の決算説明会で、「2021年第3四半期は、主要サプライヤーの工場における労働力問題や悪天候、爆発事故を受けてサプライチェーンの冗長性への対応を促進させる」と述べたが、冗長性への取り組みの具体的な内容には言及しなかった。
悪天候によって米国ペンシルベニア州にある同社施設は2週間断水し、貯蔵センターの梱包は破損した。「他の場所から特定の資材を割り当てることも可能だったが、貯蔵センターにおける梱包材の損失は、破損した在庫の補充を待っている間、注文処理能力に持続的な影響を及ぼした」とブラウン氏は述べる。
これに加えて、Beyond Meatの施設やベンダー、包装サービス業者、3PL(Third Party Logistics)(注)パートナーの労働力不足が「注文を処理する能力に影響を与えた」という。
(注)荷主が物流業務全体、あるいはその一部を第三者企業にアウトソーシングし、第三者企業によって物流改革を実施すること、あるいはその事業を指す。
小売売上高は増加、それを喜べない理由とは?
長年にわたって、Beyond Meatにとって最大の関心事は製品を十分に生産することだった。Beyond Meatは2019年に生産能力を倍増し、ペンシルベニア州の包装サービス業者を買収して2020年は生産数を増やした。これに伴ってコストを削減し、代替肉の価格を「本当の肉」の相場に合わせた。
しかし、上でも触れた通り、2021年の第3四半期の決算報告はネガティブなものになった。
「長引くパンデミックによって代替肉の需要が揺らぎ、Beyond Meatと同社の顧客が所有する工場の一部で労働問題が生じた。コロナ禍のロングテールとそれに関連する労働力不足問題は破壊的だ。当社の成長への影響が一時的なものであることを望む」とブラウン氏は言う。
パンデミックによって人々は外食しなくなったが、Beyond Meatの小売売上高は増加した。しかし、その軸足転換に伴うある要因が同社を悩ませることとなった。
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