大規模データ分析、実行も運用もテレワークで LIXILの基盤を支えるクラウド戦略:データ分析戦略を支える、クラウド基盤の生かし方(1)
大規模な製品データを従業員が柔軟かつ迅速に抽出、分析できるようにしたい。そんな思いから新たに構築されたLIXILのデータ分析基盤は、クラウドの強みを生かし、極限まで運用を効率化した。現在400人が使い、今後も拡張する同基盤を支える戦略とは。
大規模かつ多様なデータ活用をいかに効率的、かつ迅速に実行できるかどうかは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功を左右する要素だ。ERPや基幹システム、業務システムの刷新をきっかけに、データ活用に欠かせない基盤を新たにどう構築するか、悩む企業の担当者は多いのではないか。
そこに登場する新たな手段がクラウドだ。データ量の増加に合わせて柔軟にスケーリングでき、サーバを外部に置くことで運用や保守を効率化できるクラウド基盤の選択肢が今増えている。ただし、扱うデータの種類や分析のニーズによって「クラウドを自社のデータ基盤にどう生かせるのか」という問題への回答は異なる。ITmedia エンタープライズ編集部は、実際にクラウドをデータ活用の基盤に生かす複数社に取材し、それぞれの戦略や導入の過程を追った。第1回となる今回は、大規模な製品データの活用を進めるLIXILの事例をお届けする
自宅からできるデータ活用を クラウド導入を後押しした戦略とは
2011年に国内の主要な建材メーカーや設備機器メーカー5社が統合し誕生したLIXIL。同社はDXを通して消費者の新たなニーズに応え、生産性や従業員エンゲージメントを向上させようとしている。全社規模のDXを推進するには、社内外のさまざまなデータの活用が必須だ。そのために同社がクラウドで構築したのが、データ活用基盤「LIXIL Data Platform」だ。
同社の栗本浩佑氏(デジタル部門 システム開発統括部 デジタルテクノロジー担当リーダー)は「それぞれの従業員がセルフサービスで主体的にデータ活用することを目的にLIXIL Data Platformを構築しました」と話す。データ分析の際、環境の構築を逐一IT部門に依頼するようでは、迅速なデータ活用は実現できないためだ。
関連記事
- クラウド基盤でデータ活用、実行したい企業は何割? 読者に聞いた「将来像」と現実
企業が取り組むデータ活用はどれほど進んでいるのか。その指標となるデータ活用基盤をどれほどの企業が、どのような環境に構築しているのか。編集部が読者に現実と将来像を聞いたところ、一定のトレンドが浮かび上がった。 - 「データドリブン従業員」はどう作る? 入社2年目若手が分析をリードするLIXILのデータの使い方
LIXILはDX推進の施策を「デジタルの民主化」と呼び、システム開発と組織全体でのデータ利活用を進めている。データ活用基盤となるLIXIL Data Platform(LDP)の整備状況と、データ活用人材のすそ野拡大の状況はどうなっているだろうか。 - 1人で始めた「脱Excel」が部門を越えたデータ活用に SUBARU 航空宇宙カンパニーを動かした熱い思い
現場から経営陣まで、ごく自然にデータを活用し、判断に生かせる文化を作りたい――。多くの企業が悩むデータドリブンな組織作りに自然な形で挑んでいたというのがSUBARU 航空宇宙カンパニーだ。1人の“熱い思い”に自然と周囲が共鳴したというが、それは一体何だったのか。 - スモールスタートは危険? データ分析、全社展開のポイント
データドリブン企業を目指して「まずはデータ分析を小さく始めて、うまくいったら全社に展開しよう」と考える組織は失敗に陥りがちだ。どんな落とし穴があるのか。リスクを回避するための方法を専門家に聞いた。 - チャンスのはずが……コロナ禍でデータ活用を推進“できない”日本の経営者たち
Tableauは、職場でのコミュニケーション意識に関する調査結果を発表した。日本のビジネスリーダーは他国よりも、職場でのコミュニケーションにおける新型コロナウイルス感染症の影響を否定的に捉えていることが分かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.