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データが保険の売り方を変えた DX生かした新商品が好調、三井住友海上を支えるクラウド戦略:データ分析戦略を支える、クラウド基盤の生かし方(3)
「データ分析導入でROIが取れるのか」。かつて高額なデータ分析の仕組み導入で辛酸をなめ、社内でもこんな言葉を投げかけられた担当者は、失敗を糧にした「無駄のないクラウド基盤戦略」で大規模なデータ分析を可能にし、販売手法の変革やヒット商品につなげた。その方法とは。
自社のデータ活用戦略に、クラウド基盤をどう生かすのか。ITmedia エンタープライズ編集部は、実際にクラウドを使ってデータ活用基盤を構築した複数社に取材し、それぞれの戦略や導入の過程を追った。第3回は、新たな販売戦略に挑む三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)のインタビューを取り上げる。
三井住友海上は現在、データ活用による新たなビジネスモデルの確立に本腰を入れている。2018年度からスタートした中期経営計画「Vision2021」では、デジタルプラットフォーム基盤の構築を皮切りにしたデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を掲げる。業務プロセス改革や販売チャネルごとの競争力強化、商品やサービスのデジタル化にも取り組む。
同社が注力する事業の一つが、データを活用した新サービスだ。2019年5月には、企業の抱えるリスクを可視化、最適化し、課題解決を図るサービス「RisTech」を、2020年2月にはAI(人工知能)を搭載した代理店営業支援システム「MS1 Brain」を開発、導入した。データドリブンな事業の背景には、試行錯誤の連続があったという。
20年前の反省を糧に 無駄のないデータ活用戦略を生んだ決意
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