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米国はレアアースの中国依存を断ち切れるのか?:SupplyChain Dive
ハイテク製品製造にレアアースは欠かせない。世界最大のレアアース生産国である中国政府が輸出規制をちらつかせる中、米国政府は国内製造業を守るべく、レアアース設備への投資に乗り出した。
ホワイトハウス(米国大統領府)は2022年2月22日、レアアース(希土類)(注1)の国内生産を促進する戦略の一環として、磁石加工工場に対する3500万ドル(約44憶1200万円)の投資を発表した。
米国のレアアース材料会社であるMP Materialsは、レアアース採掘場と処理施設を運営する北米唯一の企業だ。同社は、電気自動車や風力タービンに使用される重レアアース磁石の処理施設を建設するために政府の資金を活用する。
ホワイトハウスの発表資料(注2)によれば、MP Materialsは7億5000万ドル(約938億7900万円)の自己資金を同事業に投じる予定だ。この情報は、米国内における重要な鉱物サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性に関するホワイトハウスの発表に続いて公表された。
中国依存が続く限り、米国製造業に未来はない?
バイデン政権は、将来のテクノロジー需要に応え、中国依存を緩和するためにリチウムをはじめとするレアアースの国内生産量を引き上げるべく注力している。
中国はレアアース市場の大部分を支配している。近年は輸出を引き締め、重要な鉱物の供給を政治的影響力として利用できることを明らかにした。
米国シンクタンクのWilson Centerのレポートによれば(注3)、中国のレアアースに関連する統計は以下の通りだ。
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