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日銀がCBDCの実証実験フェーズ1の報告書を発表、クロスボーダー決済も念頭にフェーズ2へ
日本銀行がCBDCの基本的な取引処理性能などを検証するPoC第1段階の完了を報告書を発表した。CBDCシステムの基盤となる「CBDC台帳」の性能などを評価する内容だ。通常時スループット数万件/秒、ピーク時10万件以上/秒、レイテンシ数秒以内で決済処理は実現したのだろうか。
日本銀行は2022年4月13日、「中央銀行デジタル通貨に関する実証実験『概念実証フェーズ1』結果報告書」を公表した。
日本銀行では、CBDCの技術的な実現可能性などを検証する概念実証(PoC)を段階的に行っており、フェーズ1を2021年4月から2022年3月まで実施した(2022年4月からはフェーズ2が始まっている)。PoC実施後は、金融機関や民間事業者が参加するパイロット実験も検討する方針だ。
PoCの理由について日本銀行は、「現時点でCBDCを発行する計画はない」ものの、国の決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後のさまざまな環境変化に的確に対応できるよう、技術的なPoCを含め、しっかり準備しておくことが重要」と説明している。
CBDC台帳はピーク時スループット10万件以上/秒、レイテンシ数秒以内で実装可能か
フェーズ1の目的は、CBDCシステムの基盤となる「CBDC台帳」を中心とした実験環境を構築し、CBDCに関する基本的な取引(発行、払出、移転、受入、還収など)を的確に処理できるかどうかを検証すること。そのため、CBDC台帳を3つの設計パターンでパブリッククラウド上に構築し、将来的に本番環境で求められる処理性能を想定しつつ、各パターンのシステムの処理性能や信頼性、機能拡張性などを比較検証した。
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