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日銀CBDC、DCJPY、JPYCの違いは? デジタル通貨の種類と仕組みを解説
通貨のデジタル化が進んでいる。日本国内でも複数のデジタル通貨が存在するがその違いは何なのか。
日本銀行は2021年4月から中央銀行デジタル通貨「CBDC」の実証実験を推進する。一方で、80以上の企業や銀行、自治体、団体が参加する企業連合「デジタル通貨フォーラム」はデジタルマネー「DCJPY(仮称)」を2022年以内に発行することを目標とする。ステーブルコインの発行を手掛けるJPYCが発表したデジタル通貨「JPYC」も日本円に連動するステーブルコインとして注目を集める。
全て「デジタル」な通貨だがそれぞれの違いは何だろうか。
CBDCとは
CBDCは日本銀行が実証実験を進めるデジタル通貨だ。現時点でCBDCを発行する計画はないとするが、今後の社会の変化に日本が的確に対応できるように準備することが重要とする。CBDCは、個人や民間企業などの主体の利用を目的とした「一般利用型CBDC」と、金融機関の資金決済を目的とした「ホールセール型CBDC」に分類される。
一般利用型CBDC導入の目的は以下の3つだ。
(1)現金と並ぶ決済手段の導入
日本銀行は当面、現金の流通が大きく減少する可能性は低いとするが、仮にそうした状況が生じ、民間のデジタルマネーが現金の持つ機能を十分に代替できない場合に、現金と並ぶ決済手段として一般利用型CBDCを提供することを考えている。
(2)民間決済サービスのサポート
現金の流通が減少する事態が生じない場合においても、決済システム全体の安定性や効率性を高める観点から、必要であれば民間決済サービスをサポートするためにCBDCを発行することが適当となる可能性がある。
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