特集
企業がクラウド活用に奮闘? 適切なクラウド戦略を持たない企業の勘違いに要注意
ビジネスを拡大するためクラウド活用の重要性は増している。一方で、レガシーシステムからクラウドネイティブアーキテクチャに切り替えるだけではクラウドの価値を最大化できない。企業に立ちはだかる課題が分かった。
企業がクラウド導入への投資をビジネス戦略の優先事項にするにもかかわらず、クラウドによるイノベーションは期待される水準に達していない。
クラウド導入を決める意思決定者500人を対象にしたDeloitteの調査では(注1)、クラウドの戦略的優先順位とイノベーションの成功の間に乖離(かいり)があると判明している。同調査によれば、89%の回答者が「クラウドを利用して効率と俊敏性を向上させたい」と考えているが、「クラウド導入によってイノベーションが成功した」と回答したのは65%にとどまった。
企業に求められるクラウド導入への準備と心構え
Deloitteのクラウド戦略チーフオフィサーであるデビッド・リンチカム氏は同調査結果を受け、「クラウド導入のために計画を立て、それらを生かすためにリソースをそろえることは企業が考えるよりもずっと難しい」と述べた。
Deloitteによれば、企業がクラウドを導入する際には3つが重要な目標がある。
「効率と俊敏性の向上」「新しいアイデアやアプローチ、方法論の開発」「コスト削減」だ。しかしDeloitteの調査によれば、クラウド導入によって企業が起こすイノベーションはこれらの3つの目標に即したものではない。
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