AIを導入すればデータドリブン企業になれる? 企業が直面する課題と解決策を聞いた
データを活用するためにAIを導入するのは自然な流れだ。一方でAIを導入しても失敗するケースもある。企業が直面しやすい課題とその解決策を知ればデータドリブン企業に近づける。
データドリブン経営を目指すに当たり、AI(人工知能)を活用して高度なインサイトを得るには、成熟したBI(ビジネスインテリジェント)活用の文化があることが大前提となる。それには一足飛びでAI導入を急ぐのではなく、着実なデータカルチャーの醸成を進める必要がある。では着実なデータカルチャーを醸成しAIを導入するまでの過程で、企業はどのような課題を克服する必要があるのだろうか。
「データはもはやオイルではなく、水と酸素だと捉えなければならない」――。そう話すのはセールスフォース・ジャパン Tableauディレクターの嶋 ピーター氏だ。同氏によれば、企業によるデータ活用のためのAI導入の際にぶつかる代表的な課題は「データカルチャーの定着」「どこから始めるべきか」「ビッグデータがあるのかどうか」「AI導入のROI(投資利益率)が出せず、十分な予算もない」などだ。これらの解決策を聞いた。
本稿はセールスフォース・ジャパンTableauが2022年7月21日に開催したオンラインイベント「EXECUTIVE CONFERENCE AIが切り開く金融業界の分析の未来」を基に作成した。
データカルチャーの定着のためには「データを民主化」せよ
嶋氏は「多くの企業がデータカルチャーを定着させるために教育プログラムや新たなツールを導入し、従業員のスキルアップに投資するが、実際には使われないケースが多い。このような現状を変えるには『データの民主化』を意識する必要がある」と話す。
組織内の権力者のみがデータを所有するのではなく、全員で共有することがデータカルチャー定着への第一歩であり、このデータの民主化を実現するためには2つの課題を克服する必要がある。
1つ目の課題が「新しいやり方を阻害するキャズム」だ。新たなことに挑戦するときは一時的に生産性が低下しやすい。この時にノルマや締め切りが厳しいと従業員は新たなことに挑戦するよりもそれまでのやり方でノルマをクリアしようとする。
このような現状に対し嶋氏は、「一時的な生産性の低下を加味したサポート制度を設けることで、従業員のチャレンジを阻害せずに、新たなスキルの習得につなげられる」と話す。
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