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データ活用で「全社的な成果を得ている」はわずか2.2% 「人材不足」への対応以上に考えるべきこと

ガートナーの調査によると、日本企業のほとんどがデータ活用で全社的な成果を得るまで至っていない。組織全体でビジネス成果を得るには何が必要なのか。

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 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2022年10月6日、日本企業のデータ活用に関する調査結果を発表した。

データ活用で全社的な成果を得るために何が必要?

 ガートナーが2022年7月に実施した日本企業におけるデータ活用状況についての調査で、自社のデータ活用で得ている成果に対する評価を尋ねたところ、「全社的に十分な成果を得ている」との回答は2.2%にとどまり、ほとんどの企業で全社的な成果を得るまで至っていないことが明らかになった。

 一方で、自社の一部も含めて「『ある程度』の成果を得ている」と回答した割合は合わせて78.8%に上った。

 回答者が自身と所属する企業全体での取り組みの姿勢にギャップがあると認識していることも明らかになった。

 回答者自身のデータ活用に対する取り組み姿勢と所属する組織(自社)の取り組み姿勢について尋ねた設問では、自身が「非常に積極的」であるとした回答者が19.0%であったのに対し、自社が「非常に積極的」とした回答者は8.3%だった。

 自身のデータ活用の取り組みに対して積極的あるいは消極的と評価する理由について複数回答で尋ねたところ、積極的な理由の上位3項目には「データが意思決定に役立つ」(71.7%)、「ビジネス状況を把握できる」(68.6%)、「関係者への説得力が向上する」(65.9%)が挙がった。

 一方、消極的な理由の上位3項目は「必要なデータが手に入らない」(60.6%)、「スキルが不足している」(54.5%)、「周囲が消極的」(36.4%)だった。

 この状況に対し、ガートナーのアナリスト兼シニアディレクターの一志達也氏は「組織でデータ活用を推進しようとするデータ/アナリティクスのリーダーがすべきことは、個人の積極性のばらつきを調査によって正確に把握し、目指す姿と比較して積極性が不足しているところに策を講じること」だと提言する。

 スキルやツールも重要だが、そもそも個人や当該組織がデータ活用に積極的でなければ活用のアイデアは生み出されず、成果の獲得に向けて努力しようとする姿勢も乏しくなるからだ。

 同氏は「組織全体で十分なビジネス成果を得るには、組織的な機運や雰囲気も含めた積極性を十分に高めつつ、教育や支援といった環境、資格や評価といった制度も整備して、継続的に後押しすることが肝要だ」と説明する。

データ活用に関する従業員教育や資格制度、4割強が「ない」と回答

 同調査では、データ活用に関する自社の従業員教育や資格制度の状況についても尋ねた。半数強の組織が何かしらの教育環境や制度を持っていたが、「教育や資格制度、手当はない」と回答した組織が43.6%で最多だった。


データ活用に関する自社の従業員教育・資格制度の状況(出典:ガートナージャパンのプレスリリース)

 この先、データ活用を推進してビジネス成果を得たいと考える組織のデータ、アナリティクスのリーダーは、単なる人材不足への対処以上にスキルの適切な配置と役割の定義を考える必要がある。

 一志氏は「そのためには人事部などとも協働し、業務上の役割ごとに必要なデータ活用のスキルを明らかにして、人材ポートフォリオを作成することが求められる。さらに、その不足を補う教育環境を整備して実行し、社内資格や手当、昇進や任命への反映などの制度設計についても尽力すべべきだ」と説明する。

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