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富士通とトヨタシステムズが提携 自動車の生産順序の最適化を目指す
トヨタシステムズと富士通は、量子技術に着想を得た「デジタルアニーラ」を活用した車両生産指示システムの稼働を、トヨタ自動車の堤工場で開始した。2社によると、デジタルアニーラの自動車生産業務への適用は今回が国内初となる。
トヨタシステムズと富士通は2022年10月21日、トヨタ自動車の堤工場で車両生産指示システムの稼働を開始したと発表した。同システムには富士通の量子インスパイア―ド技術(注1)である「デジタルアニーラ」を活用している。
生産変動に対する迅速な対応、作業者の負荷軽減を図る
今回稼働を開始した車両生産指示システムは、これまで培われた生産現場における業務知見と、富士通研究所の定式化技術によって実業務における複雑な制約条件を等式や不等式で表現している。第3世代以降のデジタルアニーラに実装された独自技術である制約処理技術を使い、効率的かつ高速に解を求めるとしている。
2社は同システムによって生産変動に対する迅速な対応や作業者の負荷軽減を図る。
トヨタシステムズと富士通は今後、トヨタの国内にある他の工場にも車両生産指示システムを展開する。将来は海外工場への展開も目指す。
今回採用したデジタルアニーラは「Fujitsu Computing as a Service」(CaaS)の構成技術の一つだ。CaaSは、富士通が提唱する高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を容易に利用できるようにするサービス群を指す。同社は2022年10月にCaaSの国内展開を開始し、2023年度の世界展開を目指している。
(注1)量子技術に着想を得た複数の高速化技術。量子効果そのものは利用していない。
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