世界でサイバーセキュリティ人材はどのくらい不足しているのか? (ISC)2が調査結果発表
(ISC)2はグローバルでのサイバーセキュリティ人材調査の結果を発表した。調査によれば、サイバーセキュリティの人材は増加している。しかし、それでも必要な人材の確保に追い付いていない実態が明らかにされている。
サイバーセキュリティは攻撃よりも防御の方が難しいと考えられている。昨今では「完全な防御は不可能」という前提で、攻撃対象領域を把握し、可能な限り攻撃を抑え込むという発想に切り替わりつつある。
こうした防御戦略を実現するためには、スキルやノウハウを持つサイバーセキュリティ人材が必要だが、多くの企業で不足しているのが現状だ。
International Information System Security Certification Consortium(以下、(ISC)2)は2022年10月20日(現地時間)、同組織が毎年実施するグローバルサイバーセキュリティ人材調査結果「(ISC)2 CYBERSECURITY WORKFORCE STUDY」の2022年版を発表した。同レポートによれば、サイバーセキュリティの人材は増加していることが示されているが、それでも必要な人材を満たすことができず、人材不足がより深刻化しているという。
世界規模でみたサイバーセキュリティ人材の需要と供給のバランスは?
(ISC)2の調査結果によれば、全世界のサイバーセキュリティ人材は465万6084人と推定されており、これは2021年と比較して11.1%の増加で過去最高を記録した。人材が最も多い国は米国で120万5812人で、こちらも2021年比で5.5%増加している。
シンガポールなど一部の地域ではサイバーセキュリティ人材が減少しているが、それ以外の国や地域では増加傾向をみせている。日本における人材は38万8402人で、2021年比で40.4%増加した。
しかしこれでも、全世界のサイバーセキュリティ人材は不足しているのが実情だ。(ISC)2によれば、世界的にみると343万2476人の人材が足りておらず、不足数は2021年と比べても26.2%増加している。
サイバーセキュリティ人材が最も多い米国では41万695人の人材が不足しており、2021年比で9.0%増加した。日本においても人材の不足は続いており、5万5809人の人材が不足しているとされており、2021年比では37.9%の増加となる。
(ISC)2は「世界的にみてサイバーセキュリティ人材は増加傾向だが、それを超えるペースで人材の需要が高まっており、需要と供給のバランスが取れずに人材の不足がより深刻なものになっている」と指摘する。
(ISC)2は「これを解消するには、資格取得支援や専門能力開発プログラム、メンタリングプログラムなどで従業員のキャリアアップを支援することが重要だ。これによって従業員の経験を改善し、専門家が成功するために必要なツールを提供することで、熟練したサイバーセキュリティ人材の世界的な格差を是正できる」とコメントした。
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