NXグループ、子会社100社以上の経理業務プロセスを標準化
NXグループは子会社100社以上の経理業務プロセスの標準化、効率化のために「Celonis Execution Management System」を導入した。今後はグループの主要事業会社である日本通運でも活用する予定だ。
NIPPON EXPRESSホールディングス(以下、NXHD)は子会社100社以上の経理業務プロセスを標準化、効率化する手段として、業務実行管理システム「Celonis Execution Management System」(以下、Celonis EMS)を導入した。
Celonis EMSで経理業務の標準化、効率化を早期実現
NXHDは2022年1月、日本通運グループのホールディングス体制移行に伴って設立された持株会社だ。新たなグループブランド「NX」を導入し、グループ名を「日本通運グループ」から「NXグループ」へと刷新した。
同社は長期ビジョンに掲げる「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」の実現に向けて迅速な意思決定によるグループシナジーの創出やグローバルガバナンスの強化による海外事業拡大、グループ経営管理体制の高度化を目指している。
こうした活動の一環として、まず経理部門にCelonis EMSを導入して、同部門が2019年に始動した「プロジェクトITS」を強化した。
プロジェクトITSの「ITS」は「IFRS」「TAX」「SAP」の頭文字から取った。プロジェクトITSはよりデジタル化されたグループ全体のグローバル経理基盤を構築することを目的として、国際会計基準「IFRS」(国際財務報告基準)の導入や「TAX」(連結納税や海外税務)への対応、「SAP S/4HANA」の導入によるグループ経理基盤の構築に取り組む。
特にSAP導入は、グループ各社への個別対応から国内外グループ全体としての経理システム、経営基盤の構築を進める大規模プロジェクトとなる。経理業務の標準化、効率化の早期実現に向けて業務システムに蓄積されたデータから経理業務の問題を可視化して業務プロセスのボトルネック、根本原因の特定、改善施策の策定にCelonis EMSを活用しているという。
Celonisのコンサルタントは、SAP S/4HANAが稼働する前段階からNXHDのプロジェクトITSに参画して、各子会社の状況に応じた支援を提供した。受け入れテスト時にCelonis EMSのダッシュボード作成を支援した他、SAP S/4HANAが稼働を開始した2022年1月からデータをCelonis EMSに取り込み、可視化して分析する環境を実現した。
NXHDは2023年1月までに子会社100社以上の業務プロセスを順次、可視化、分析していく計画だ。
Celonis EMSの導入は2022年1月から順次進めており、2022年11月現在で子会社のうち76社が既にCelonis EMSを活用している。NXHDはCelonis EMSの効果として以下を挙げた。
- 実際の稼働状況がユーザーごとに細かく体系化されて把握できる
- 当初想定したプロセス通りに業務が実施されていないことが浮き彫りになった
- SAP S/4HANA導入過渡期において、業務プロセスの改善を直ちに実行できる基盤が整備できた
- 従来の担当者の経験と勘に基づいた業務の可視化、問題点ではなく、Celonis EMSによってデジタル化した業務プロセスをより整流化し、事実に基づく問題点の特定や原因の検証が可能になった
今回のCelonis EMS導入と今後の展開について、NIPPON EXPRESSホールディングスの経理部 専任部長の日下昌彦氏は「現在は、経理業務チームにCelonis EMSの担当者を置き、業務フローのブラッシュアップやシステム仕様への反映などを実施している。BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)センターや子会社に対する教育も実施しており、外部委託先との間でもCelonis EMSを共通言語としてファクトベースの業務改善が進むと期待している」と述べる。
今後は分析対象を拡大し、NXグループの主要事業会社である日本通運をはじめ国内外問わずNXグループ全体でCelonis EMSを活用する予定だ。
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