7割弱が「手続き途中で“離脱”」 安全性だけじゃない、“手軽”な本人確認ソリューションを実現できるか
オンラインでの商取引が増える中、個人情報の盗難やなりすましなどの詐欺行為による被害が深刻化している。一方で、本人確認手続きの煩雑さや安全性への懸念から手続きを途中で放棄する消費者は7割弱に上るという。安全性と使いやすさを両立したソリューションの実現は可能なのか。
2022年10月24日、ABBYYジャパンは身分証明や本人確認をオンラインで行うオールインワン本人確認ソリューション「ABBYY Proof of Identity」の提供開始を発表した。
ABBYYジャパンは電子メールやテキストからデータを変換するインテリジェントドキュメントプロセッシング(IDP)やAI OCRとプロセスマイニングを主軸としてインテリジェントオートメーションを推進する米ABBYYの日本法人だ。
「面倒だから、手続きやめた」を防げるか
今回提供を開始するABBYY Proof of Identityは、安全性だけでなく使いやすさも追求したソリューションだ。
同社が使いやすさを強調する背景には、消費者の「離脱率」の高さがある。
オンラインのフォーム入力時の本人確認データ提供に対して、消費者は安全性への懸念や手続きの複雑さがネックとなり、68%が手続きの途中で離脱しているという調査結果がある(注1)。
また、米国連邦取引委員会のレポート(注2)によると、個人情報の盗難やなりすまし詐欺などの詐欺行為によって2021年には280万人以上が59億ドル(約8800億円)を失っている。
米ABBYYのブルース・オーカット氏(製品マーケティング担当シニアバイスプレジデント)は「危険性の高いインタラクションがオンラインで処理されている。特に、銀行、医療、行政のように個人の実際の本人確認情報の信頼性と円滑なユーザー体験に対する顧客の期待の間とのバランスが必要な分野において顕著であり、バランスを取るためにはもっと適切な手段が必要だ」と述べる。
ABBYY Proof of Identityは、ユーザーが求められる身分証明と実際の本人確認情報を照合するための次の6つの機能を提供する。
- 本人確認情報の読み取り。モバイルキャプチャーやドキュメント仕分け
- 本人確認情報の確認。画像の改ざんによるなりすましの検出
- 顔照合(NIST[米国国立標準技術研究所]が「トップクラス」と評価するアルゴリズムをベースにした極めて誤りの少ないもの)
- ドキュメントのトレイリング(文書処理中心の本人確認)
- 例外処理(特定の取引に対する任意の人手による監査)
- プロセス改善の可能性を見つけるためのプロセスインテリジェンスとマイニング
ABBYYジャパンによると、従来の本人確認ソリューションが6ステップ程度で構成されていたのに対して、ABBYY Proof of Identityは次の3ステップにすることで、消費者の利便性向上を図っている。
- ID(身分証明書)のアップデート
- セルフィ―(自撮り画像)のアップデート
- 必要書類の画像アップデート
上記3つのステップは共通して、ピントが合った瞬間に自動でシャッターを切り、画像をアップデートする「半自動」仕様になっている。「アップデートした写真がピンボケで手続きが前に進まない」といった問題を避けることができる。また、アップデート後は必要な情報が欠けていないかどうか、IDと必要書類の内容に齟齬がないかどうかなどがその場で自動的にチェックされる。
ABBYYジャパンの前田 まりこ社長は新製品発表と同日に開かれた会見で、「当社のAI OCRを利用できるのがABBYY Proof of Identityのアドバンテージとなっている。申請業務システムとの連携に強いのも特徴だ」と述べた。
なお、ABBYY Proof of Identity はインテリジェントドキュメントプロセッシングサービス「ABBYY Vantage」とプロセスマイニングサービス「ABBYY Timeline」に搭載される。
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