複数事業者の各種手続きをオンラインで 日立が「汎用デジタル窓口」を販売開始
自治体や民間企業の窓口や有人店舗の集約化が進み、対面サービスの提供が縮小している。一方でオンラインサービスの利用は伸び悩み、誰もが簡単に利用できるサービスが求められている。日立は、遠隔地からオンラインで自治体や民間企業の窓口サービスを利用可能にする「汎用デジタル窓口」の販売を開始する。
日立製作所は2022年10月17日、「汎用(はんよう)デジタル窓口」の販売を開始すると発表した。同年11月28日に提供を開始する。茨城県笠間市では同サービスを搭載した車両を使った「移動型窓口サービス」を実証する。
各種手続きをワンストップで 役所から離れた地域の住民の負荷を低減
汎用デジタル窓口は地域の出張所や公民館、銀行、駅、移動車両など生活圏の身近な場所に利用ブースを設置して、遠隔地からオンラインで自治体や民間企業の窓口サービスを利用可能にする。複数の事業者が提供する相談窓口や各種手続きサービスをワンストップで利用可能にし、役所から離れた地域の住民や移動制約者の負荷を低減するのが目的だ。
同サービスには大型のディスプレイとシンプルな操作方法が採用され、デジタル機器に慣れていない人でも直観的に操作できるのが特徴だ。ビデオ通話によって相互に表情を確認しながら会話できる。高精細な書画カメラで利用者の机上書類をリアルタイムに共有可能だ。翻訳サービス事業者も交えた3者間通話など、外国人向けの支援機能も備える。
オンラインでの本人確認には「日立公的個人認証利用サービス」を利用する。マイナンバーカードを用いて電子証明書の有効性を確認できる。マイナンバーカードから本人確認に必要な氏名や住所、性別、生年月日の基本4情報を読み取り、自治体職員側の画面に自動的に表示する。利用者による入力や自治体職員による聞き取りは不要だ。
自治体の行政手続きや窓口対応業務の効率化、電子申請の利用率向上、ペーパーレス化を促進する各種機能も提供する。電子申請に当たっては利用者がタブレット上で必要情報を手書き入力し、窓口対応者の入力作業を効率化する。
総務省の「自治体情報システム強靱(きょうじん)性向上モデル」に配慮して、LGWAN(Local Government WAN:総合行政ネットワーク)接続系の自治体内の業務システム環境から各種クラウドサービスの利用を可能にする「地域IoT連携クラウドサービス」を活用した。これにより、自治体内のLGWAN系業務システムと汎用デジタル窓口を接続できた。職員はセキュアな環境下で「予約情報」や「相談記録」といった情報の登録や検索が可能だ。
笠間市で「移動型窓口サービス」を実証
今回の販売開始に合わせて、笠間市で同サービスを実装した車両(MONET Technologiesが提供するマルチタスク車両)を利用した移動型窓口サービスの実証を行う。笠間市での実証は、日立と日立システムズが連携して、2022年10月17〜21日に実施する。
市役所までの距離や時間の都合で窓口への来訪が難しい人などを想定し、市内各所へ出向いて介護や補助金、マイナンバーカードに関する各種申請手続きの支援や相談など「動く市役所」の実現に向けたさまざまな試行を実施する。住民や自治体職員双方の利便性を検証し、実証で得た知見を基に移動型窓口サービスの効果的な活用方法などを検討するとしている。
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