非対面接客から内製化までコミコミ 「金融機関DX専用セット」を日立が提供
金融機関専用のDX推進ソリューションが登場した。eKYCによる本人確認やローコード開発ツール、非対面接客向けビデオ通話機能なども盛り込み、顧客サービスのデジタルシフトを包括的に支援する。
日立製作所は2022年9月28日、金融機関の窓口業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、非対面や非来店の取引を促進するソリューション「Branch in Mobile」を提供開始したと発表した。インターネットバンキングやオープンAPIなどの「ネットサービス」と、店舗やATMなどによる「リアルサービス」を接続し、金融機関が提供するサービスの顧客経験の価値向上を支援する。
金融機関では、非対面ビジネスへの転換や業務のデジタルシフトが急務になっている。Branch in Mobileは、日立が取り組む金融機関のデジタルシフト促進に向けたソリューションやサービス拡充の一環として開発された。従来対面を前提としていた金融機関のサービスを非対面で実施可能とするとしている。
非来店とセルフのどちらにも対応 eKYCやビデオ通話機能、内製化支援も
現金を扱う取引以外は、スマートフォンやタブレットを使ってオンラインで手続きを完結させられる。営業時間に制限されず「いつでも」、場所を限定せず「どこでも」手続きできる。画面ナビゲーションやビデオ通話といった利用者への支援機能も備えており、実店舗と同等のサービスを提供できるとしている。
手続きのセルフ化に加えて印鑑や伝票、通帳などを不要とすることで行員の事務負荷を軽減する。オンラインで本人を確認するeKYC(electronic Know Your Customer)によって本人確認書類をデータ化して入力を支援する「OCR認識機能」や、行員と直接やりとり可能な「ビデオ通話機能」などを組み合わせることで、非来店とセルフ化を促進する。
システム開発についてはマイクロサービスや、日立が独自開発したローコード開発ツールを採用することで開発やメンテナンスを容易にした。システム開発に関する専門知識がなくても、業務フローや画面項目、入力内容チェック条件などを設定することで、システムに機能を追加できる。金融機関自身で新規サービスに向けた機能の実装や追加、変更が可能だ。
日立製作所は今後、日立の各種ネットサービスや非金融サービスとのAPI連携ソリューションに加え、日立チャネルソリューションズの現金タッチレスや現金管理レスなどのソリューションを組み合わせて、デジタルシフトをトータルで支援するとしている。
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