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「出社を要求すれば辞める」エンジニアたち IT人材にとっていい職場とは何かCIO Dive

IT人材の需要が高まる中、こうした人材を確保するために企業はどのような職場環境や待遇を用意すればいいのだろうか。

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CIO Dive

 技術系人材の求人サイトを運営するDiceが2022年11月に発表したレポートによると、エンジニアの60%は最も望ましい職場環境としてフルリモートを挙げており、これは2021年の53%よりも増加している(注1)。

 Diceが2022年7月に950人のエンジニア、同年9月に350人の人事担当者を対象に調査を実施したところ、エンジニアの半数以上が「今後1年間に転職する可能性がある」と回答した。

 Diceの親会社DHI Groupの社長兼CEOであるアート・ザイル氏は「CIO Dive」のインタビューで以下のように述べた。

 「彼らは単に報酬アップを求めているわけではありません。これだけ多くの人が転職先を探している理由は、テレワークができる会社への憧れがあるからです」(ザイル氏)

転職理由の優先順位に変化が生まれている

 Appleは2022年8月、週に3日間はオフィスで働くよう要請したことで話題になったが、この取り組みは従業員の反発を招いた。他の企業も同様の取り組みをしており、10社中7社近くがテレワークと出社を組み合わせるハイブリッドワークを推奨し、従業員に出社を促している。

 しかし、調査によるとエンジニアの回答者のうち10人中9人は「フルタイムでオフィスにいるよりもテレワークの方が望ましい」と答えている。IT人材の需要が高まる中、エンジニアにとってフルリモートやハイブリッドワークを選択できることは、就職を考える上で最優先事項と言っても過言ではない。

 だがこれは企業側の期待に反している。企業としては、たとえパートタイムであってもエンジニアやその他の従業員になるべく出社してもらいたいと考えている。

 「このように企業が出社を要求することが、多くのエンジニアが転職を希望する理由の一つです」とザイル氏は話す。

 「テクノロジー業界において、エンジニアは自分たちの需要が高いことを知っています。彼らはこれまで転職を考える際、給与を第一に考えていました。ところが、現在はハイブリッドワークやテレワークができる環境を優先する人も増えています。それどころか、その両方を求める人もいます」(ザイル氏)

高まるエンジニア需要 いい人材を確保するために企業がすべきこと

 Diceによると、2022年はWeb開発者やデータベース管理者、ソフトウェア開発者など、需要の高い職種の給与が急激に上昇した。これらの職種の平均年収は、初めて1000万円の大台を突破した(注2)。

 こうした求人市場の変化もあり、調査対象となった企業の3分の2以上が「経営陣の指示や業界のトレンドに合わせながらも従業員のニーズに応えて柔軟な勤務形態を導入している」と回答した。

 「現在は年間を通してDiceのWebサイトに掲載されている約35%がテレワーク可の求人になっています」とザイル氏は述べる。

 その他、職場の文化や企業イメージを重視して就職先を検討するエンジニアも多い。10人中9人近くが「企業のブランドを重要視している」と回答し、10人中8人が「評判の悪い企業はよほど報酬が高くなければ応募しない」と回答している。

 転職を考えている人は「Glassdoor」などの口コミサイトで企業のレビューを閲覧したり、SNS上に投稿される従業員の評価を確認したりしているそうだ。

 「エンジニアは自分たちが企業から求められており、さらにリモート環境の方が効率的に仕事ができることを知り、自分が尊敬する企業を選んで就職できることに気付いたのです」(ザイル氏)

 このような求職者の変化に振り回されている企業は多い。特にIT部門やCIO(最高情報責任者)にとっては優秀な人材を採用または確保できるかどうかは死活問題だ。

 「こうした状況では、より優れた営業力や優れた提案力を持っている企業が有利です。企業の成功に必要な人材を獲得するためには、人事部のセールスパーソンにならなければなりません。これはCIOも認識しておいた方が良いでしょう」とザイル氏は警鐘を鳴らした。

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