日本マイクロソフトの“5つの取り組み”は真のDXを実現するか(2/2 ページ)
Microsoftは「Do more with less」を掲げ、企業のDX推進に取り組んでいる。これを達成するには5つの観点で取り組みが必要なようだ。
マイクロソフト テクノロジー センター(MTC)は何を生み出すのか
新たなマイクロソフト テクノロジー センター(MTC)について、同センターでセンター長を務める吉田氏が解説した。吉田氏はMTCを「顧客のイノベーションを支援するためにインダストリーとテクノロジーの知見を活用し、マイクロソフトテクノロジーを提案するハブ」と位置付ける。
MTCは世界28カ国に設置され、テクノロジーアーキテクトを通じて各地域の顧客を支援している。それぞれの地域のノウハウは全世界のチームが共有しており、各地域の顧客に生かすことが可能だ。
吉田氏はMTCの具体的な活動として、ユーザーの目標と課題を深く聞き理解するためにディスカッションやヒアリングセッションを設ける「ストラテジーブリーフィング」、ビジョンや戦略、基礎的なアーキテクチャ、簡易ロードマップなどの作成を支援する「エンビジョニングワークショップ」、ビジネス要件を深掘りし、技術的要件を考慮した全体アーキテクチャを作成する「アーキテクチャデザインセッション」、全体アーキテクチャの懸念事項を解消するための簡易的な実証プロジェクト「ラピッドプロトタイプ」を挙げた。
「ストラテジーブリーフィングセッションでは、従来のようなセミナー形式ではなく、日本マイクロソフトのメンバーが直接、ヒアリングやディスカッションする。エンビジョニングワークショップではユーザーに寄り添ったテーマでワークショップを開催する。『DXで目指す姿の明確化』といったコンサルテイングファームが請け負っているようなテーマに対しても知見を提供していく」(吉田氏)
MTCには「MTC Room」があり、ここでは意思決定層への情報提供やヒアリング、ディスカッションなどが可能だ。その他にも「Envisioning Theater」や「Executive Briefing Room」などがあり、ユーザーの用途に合わせて利用できる。また、Microsoftが提供する製品やサービスを体験できる「Experience Room」や「Innovation Factory」「Teams Room」などもある。
吉田氏によれば、特定業種でのテクノロジー活用を紹介する展示ブース「インダストリー・ポッド」も新たに設置された。ここでは、Microsoftが提供するテクノロジーをどのように活用してもらうかを業界ごとに展示し、ディスカッションを実施することも可能だ。
岡嵜氏は2022年12月、「ITmedia エンタープライズ」との単独インタビューで「Microsoft Cloudの強みは、さまざまな製品ポートフォリオに加えて、パートナーとの連携で生まれるトータルソリューションが提供できる点にある。ユーザーにその価値を提供する『トータルクラウドソリューションベンダー』として一番を目指す」と述べている。
MTCにも岡嵜氏の「ナンバーワントータルクラウドソリューションベンダーになる」という意思が反映されている。日本マイクロソフトがクラウド市場で成長できるかどうかは、今回の5つの観点を「どう日本市場で加速し、定着させるか」が鍵になりそうだ。
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