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JUAS、「企業IT動向調査 2023」の速報値を公開 今後重視される人材とは?
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は「企業IT動向調査 2023」の速報値を公開した。企業におけるIT投資やIT戦略における基本資料として活用できる。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2023年1月24日、企業におけるIT投資動向やIT戦略動向などを定点観測する「企業IT動向調査 2023」の速報値を公開した。この調査は企業におけるIT投資やIT戦略などの動向を調査したもので、企業におけるIT戦略立案の資料としての活用が期待される。
「企業IT動向調査 2023」は2022年9月9日〜10月27日にかけて東証上場企業およびそれに準じる企業4500社のIT部門長に調査依頼状を送付し、Webアンケートの形式で調査を実施した。1025社から回答が得られている。正式なデータや分析結果は2023年4月の公開が予定されている。
データから読み解く 2023年の企業のIT投資および求める人材は?
速報値のサマリーは以下の通りだ。
- 「業務のデジタル化対応」「基幹システムの刷新」「基盤整備・増強」などを理由にIT予算が増加する。2022年度との比較では「業務のデジタル化対応」と「事業変革に向けたデジタル化対応」の伸びが予測される。新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)に関する取り組みが一段落したことで「基盤整備・増強」は低下している
- IT予算増加の背景には、企業の業績が回復基調にあることも影響しているものとみられる。2022年度の業績見込みでは、54.1%が「増収増益」と回答している
- デジタルトランスフォーメーション(DX)推進において「人材・スキルの不足」が深刻化している。特に売上高規模が大きい企業で問題が顕著に表れている
- 現状重視している人材タイプについては「情報セキュリティ担当」(47.9%)、「業務改革推進・システム企画担当」(34.7%)、「IT戦略担当」(33.6%)という結果になった
- 今後重視する人材タイプとしては「IT戦略担当」(46.9%)、「情報セキュリティ担当」(41.2%)、「DX推進担当」(40.2%)が多い
- 人材育成方針や教育カリキュラムについて「すでに変更した」または「変更を検討している」という回答をした企業が52.7%。売上高規模が大きい企業ほど顕著で、売上高1兆円以上の企業では92.7%で人材育成方針・教育カリキュラムの変更に着手している
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