Microsoft 365の大規模障害 原因はWANルーターのIPアドレス変更
2023年1月25日にMicrosoft 365のサービスが数時間にわたって不具合を起こし、多くの企業に影響を与えた。Bleeping Computerは全世界における大規模障害の原因についてWANルーターのIPアドレス変更だと伝えた。
コンピュータ情報サイトの「Bleeping Computer」は2023年1月27日(現地時間)、同年1月25日に全世界で発生した「Microsoft 365」における大規模な障害について、事態の流れと原因を報じた。
2023年1月25日に発生したMicrosoft 365の大規模障害によって複数のMicrosoft製品がサービス停止し、多くのビジネスパーソンに影響を与えた(出典:Microsoft 365のTwitterアカウント)
Microsoft 365の大規模障害 発生原因はWANルーターのIPアドレス変更
大規模障害では、Microsoft 365のネットワークに不具合が発生し、Microsoftが提供するさまざまなサービスが問題を抱えた。タイムアウトが発生してほとんど仕事にならない状態に陥ったケースもあった。
Bleeping Computerによれば、障害発生の直接的な原因はMicrosoftが実施したWANルーターのIPアドレス変更だという。更新作業としてあるコマンドがルーターに対して実行されたが、その結果ルーターがWANにある他の全てのルーターに対してメッセージを送信してしまい、メッセージを受け取った全てのルーターが隣接テーブルと転送テーブルを再計算することになった。
再計算が実施されている間、ルーターは通過するパケットを適切に転送できなくなった。これが2023年1月25日に発生した大規模障害の原因とされている。
不具合の影響を受けたサービスは以下の通りだ。
- Microsoft Teams
- Microsoft Exchange Online
- Microsoft Outlook
- Microsoft SharePoint Online
- Microsoft OneDrive for Business
- Microsoft PowerBi
- Microsoft 365 Admin Center
- Microsoft Graph
- Microsoft Intune
- Microsoft Defender for Cloud Apps
- Microsoft Defender for Identity
不具合が発生している間、「Microsoft Azure」リージョンでホストされているリソースなどにアクセスしようとした場合に問題が発生。長いネットワーク遅延やタイムアウトが発生した可能性がある。該当している場合には上記サービス以外のサービスであってもアクセスできないといった問題が発生した可能性がある。
今回のインシデントは2023年に入ってから初の大規模クラウドサービスの不具合となる。クラウドサービスは便利だが、このように問題が発生する際には世界的に連続して数時間の利用不能時間帯が発生することがある。クラウドサービスを活用する際には、こうしたリスクがあることを念頭に置きながらビジネスプロセスを設計するといったことも事業継続において重要になってくる。
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