Red HatがSAPと提携拡大、SAPのサービス基盤や社内実践の支援に技術者派遣も
Red HatがSAPとのパートナーシップを拡大する。Red Hat Enterprise Linux上のRISE with SAPソリューションの各種ワークロードに対するサポートを拡大して、SAPユーザーのRed Hat Enterprise Linux採用拡大を狙う。
Red Hatは2023年2月1日、SAPとのパートナーシップを拡大すると発表した。
今後1年にわたって両社は密接に協力し、「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)上の「RISE with SAP」ソリューションの各種ワークロードに対するサポートを拡大して、SAPユーザーによるRHEL採用を促進する狙いだ。RISE with SAPは、SAPのビジネスアプリケーションを利用する企業に向けたDX支援プログラムで、SaaSや各種クラウドソリューションの活用を支援するSAPの取り組みだ。現在のSAPビジネスアプリケーションを支えるデータベースソフトウェア「SAP S/4HANA」はLinux OSでのみ動作する。
社内のIT基盤や提供サービス基盤でもRHELの採用を進めるSAP
今回のパートナーシップ拡大は、SAPソフトウェアのワークロードをRHEL上に拡張することを意味する。SAPユーザーが自社システムをRed Hat製品群で構築したハイブリッドクラウドに展開することで、ビジネスの俊敏性の向上やクラウド導入の加速、ビジネスイノベーションの推進が容易になるとしている。
RISE with SAPプログラムで提供される各種SaaSなどのDX支援ソリューション群もRHELの基盤から利用できるため、SAP S/4HANAなどのSAPソフトウェアを活用したクラウドでのイノベーションプロジェクトを「より容易に合理化できる」(プレスリリース)としている。
SAPはこれまでもRed Hatと協力しており、社内IT環境の一部や、SAPが顧客向けに展開する「SAP Enterprise Cloud Services」のサービス群をRHELの標準基盤に移行させてきた。SAPはこの移行ロードマップの一環としてRHELを使用したRISE with SAPソリューションのサポートを強化する。
SAPはこの取り組みについて、自社システムや提供サービスにおいてRHELを採用することで、SAP Enterprise Cloud Servicesの柔軟性を高められ、今後の技術要件に対応しやすくなると説明する。RHELを基盤とすることでRISE with SAPソリューションをクラウド環境にスムーズに導入できるという。
一方のRed Hatは、RHEL基盤でより広くSAPアプリケーションに対応する目的で、専任の製品エンジニアとオンサイトリソースをSAPに提供する。SAPの技術チームがRHEL上での標準化と、SAPとRed Hatのソリューションの相互運用性を推進することを支援するのが狙いだ。
SAPの技術者は「Red HatラーニングサブスクリプションPremium」のRed Hatトレーニングコースとハンズオンラボを通じて技術スキルを身に付け、Red Hatのハイブリッドクラウド技術に関する知識を深める。
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