JVCケンウッドがOracleのクラウドERPを採用 財務情報の把握を高速に:ERP導入事例
JVCケンウッドはOracleのクラウドERPを採用しDXを推進するという。Oracleの選択に至った背景とは。
日本オラクルは2022年2月21日、JVCケンウッドが「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning」(ERP)とその製品群である「Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management」(EPM)を採用し稼働したと発表した。
JVCケンウッドがOracleのクラウドERPを選んだ理由
JVCケンウッドは2021年に中期経営計画「VISION2023」を発表しており、「変革と成長」を基本戦略としてこれまで取り組みを進めてきた。一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大や半導体供給問題など、同社を取り巻く市場環境の大きな変化に加え、同社内では人材不足やコーポレート社員の減少など事業継続へのリスクが顕在化していた。
また、同社は「経営データの見える化」に課題を持っていたことからリスクへの対応ができずにいた。この状況は日本ビクターとケンウッドの従来のプロセスが残った仕組みやそれを複雑につなぎ合わせたインタフェース、スプレッドシートでの膨大なやりとりなどが関係しており、基幹システムの刷新が急務だった。
同社は2019年12月に高品質で高精度のデータドリブン経営を目指すために「Oracle Cloud ERP」を選択している。AI(人工知能)や機械学習などが搭載され、グローバルで標準化されたプロセスを提供するOracle Cloud ERPを採用したことで経営基盤としての機能と総原価改革の実践を実現した。
現場にも変化が
JVCケンウッドの従来システムでは、限界利益の損益計算書を手作業で作成していたが、Oracle Cloud ERPの導入後は自動作成が可能になった。また、貸借対照表やキャッシュフロー、総資産利益率の作成も月次対応できていなかったが、導入後は実働4日で貸借対照表の作成ができるようになったという。
発表に当たりJVCケンウッドの園田剛男氏(取締役 常務執行役員 最高技術責任者 最高情報セキュリティ責任者)は、「弊社は稼ぐためのビジネスプロセスに変革すべく、全社DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進とインフラ強化施策を進めてきました。Oracle Cloud ERPが稼働したことで会計業務のプロセスの標準化と自動化を実現しました。またOracle Cloud EPMは経営意思決定もサポートしています」とコメントを寄せた。
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