DX推進企業の「7割以上」が内製化を実践 内製化に取り組む企業は支援サービスを利用するのか?
IDCの調査によると、DX、デジタルビジネスイニシアティブに取り組む企業の7割が内製化を実践している。その3つの目的とは。また、内製化に取り組む企業が外部の支援サービスを利用しているかどうかも判明した。
IDC Japan(以下、IDC)は2023年3月22日、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルビジネスを支援するITサービス/ビジネスサービスの需要に関する調査結果を発表した。
DX推進企業における内製化「3つの目的」
同調査は、従業員1000人以上の国内大企業のDX担当者(DX、デジタルビジネスイニシアティブに従事するマネージャー層から経営層)を対象として2023年2月に実施した。DX、デジタルビジネスイニシアティブの進行状況や各種DX、デジタルビジネス支援サービスの利用状況、支援サービス事業者の利用動向、開発内製化の実践状況などを調査した。
同調査レポートによると大企業のDX、デジタルビジネスイニシアティブの8割以上で、ビジネス変革支援や技術実装支援といった何らかの支援サービスが利用されていることが分かった。今後1年間の支援サービスへの支出額の増減に関する調査結果では、「増える」との回答は61.5%、「変わらない」との回答は33.6%となったことから、支援サービスへの高い需要は今後も継続するとIDCはみている。
DX、デジタルビジネスイニシアティブにおける内製化への取り組み状況に関する調査結果では、同イニシアティブの73%で内製化が実践されていることが分かった。内製化の目的は「セキュリティの確保」(32.9%)が最も高く、次いで「人材育成」(32.0%)、「開発ノウハウの蓄積」(30.7%)などケイパビリティ強化を目的とする項目が上位となった。「開発コストの削減」や「ベンダー依存からの脱却」を目的とする割合は相対的に低かった。
内製化の実践状況とデジタルビジネス支援サービスの利用状況に関する質問に対しては、内製化を実践している企業の方が、アプリ開発、SI(システムインテグレーション)支援を含む全ての支援サービスの利用率が高い結果となった。加えて、内製化を実践し成果が出ている企業ほど、支援サービスの利用率が高い傾向だった。
求められる支援サービスとは
これらの結果から、DX、デジタルビジネスイニシアティブにおいて内製化に取り組む企業は、自社ビジネスの継続的なイノベーションに向け、多様な支援サービスを活用しながらケイパビリティの強化を図るとともに、DX、デジタルビジネスイニシアティブの成果を出しているとIDCは分析する。
IDCの村松 大氏(ソフトウェア&サービス マーケットアナリスト)は「DX、デジタルビジネスイニシアティブにおいて開発の内製化は一般的な取り組みになっている。その成果を上げるには業務、組織の変革や人材育成といったビジネス変革支援と、開発内製化を含めた技術変革支援の両方が必要とされており、支援サービスベンダーにとってはビジネス機会になる」とコメントした。
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