年間1900時間を創出 物流サービス企業がRPAツール「BizRobo!」を導入
松浦通運はRPAツール「BizRobo!」を導入し、フルタイム従業員1人分に相当する年間約1900時間を創出したとしている。「BizRobo!」導入の決め手は何か。
RPAテクノロジーズは2023年4月25日、同社のRPAツール「BizRobo!」を松浦通運が導入したと発表した。
「BizRobo!」導入で年間1900時間を創出
佐賀県唐津市に拠点を置く松浦通運は、トラック輸送や唐津港での港湾荷役、倉庫、通関業など総合物流サービスを中心に展開している。
主体的に取り組める業務改善手法として同社がRPAに着目したのは2019年だった。2020年には、他業務での活用や今後の社内開発も念頭に置いて、最適なRPAツールの検討を開始した。運行車両の運転席映像をAI(人工知能)による画像解析で毎日チェックする「ながらスマホ防止策」を準備中に、システム開発会社からAIとRPAの連携による映像の自動転送を提案されたことがきっかけだった。
松浦通運が「BizRobo! Lite+」を導入する決め手となったのは、以下の2点だ。
- 自動実行の操作対象を確実に指定できる「オブジェクト認識」機能を備える点
- ソフトウェアロボットの開発・実行環境を作業対象の端末外に置き、個別環境に依存しない運用が可能な「サーバ型」である点
同社は現在、「画像解析AIへのデータ転送」「荷物の追跡番号を専用サイトに入力し、遅延が見込まれる場合に通知する」「固定電話と携帯電話の利用料金を伝票にまとめる」などの10業務で合計15体のソフトウェアロボットを活用している。
このうちAI関連を除く13体は、入社3年目だった若手のシステム課社員が作成を担当した。
RPAの適用対象業務を選定する際は、スタッフに聞き取り調査した後、寄せられた対象候補を検証して、見込まれる時間削減効果が大きい順に開発を進めた。スタッフの要求を捉え、新たな取り組みへの抵抗感を防ぐことでRPAの活用が順調に拡大したとしている。現在ではRPAによって、フルタイム従業員1人分に相当する年間約1900時間を創出したという。
今後、松浦通運はAI-OCRサービス「BizRobo! OCR with AI inside」を導入する。工事の下請業者となる際に提出する「労務・安全衛生管理に関する書類」の登録サイトに、更新した車検証や運転免許証などのデータを反映する作業を自動化する予定だ。特に残業の多い部署の業務内容を簡素化する「時短プロジェクト」も進める。プロジェクトをより円滑に推進できるよう、社内開発者の増加やグループ会社に横展開するとしている。
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