OracleがADWに新機能を追加 DWH市場での勝機は
OracleがOracle Autonomous Data Warehouseに4つの新機能を追加した。他社サービスとの違いとDWH市場への思いとは。
ビジネス成長におけるデータ活用の重要性が増すと同時に、データウェアハウス(DWH)市場の競争が激化している。日本オラクルは2023年5月16日、「Oracle Autonomous Data Warehouse」(以下、ADW)に4つの新機能が追加されたと発表した。機能概要と今後の日本市場における意気込みを、Oracleのジョージ・ランプキン氏(Data Warehouse&Autonomous Database担当 プロダクトマネジメント バイスプレジデント)に聞いた。
OracleがADWに新機能を追加 DWH市場での勝機は
ADWはクラウドネイティブなデータウェアハウスサービスで、プロビジョニングや設定、セキュリティ、チューニング、スケーリング、バックアップを自動化できる。ADWに追加された4つの新機能は「オープンコラボレーション」「マルチクラウド機能の拡張」「データ統合とデータ分析の簡素化」「オブジェクトストレージと同じコストで高性能なストレージを利用可能に」というものだ。
オープンコラボレーション
これまでDWHには専用データ共有モデルが採用されていたが、ADWはオープンソースの「Delta Sharing」プロトコルを採用している。これにより、ユーザーはプロトコルをサポートするあらゆるアプリケーションやサービスを使用してセキュアにデータを共有できる。
マルチクラウド機能の拡張
ADWはマルチクラウド向けに構築されているため、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」(Azure)、「Google Cloud」のオブジェクトストレージへ安全なアクセスを実現する。また、「Azure SQL Database」「Azure Synapse」「Amazon Redshift」「Snowflake」「MongoDB」「Apache Hive」「PostgreSQL」へのライブSQL接続や、100以上のデータソースからデータを取り込む事前構築済のコネクターなどを備えている。「Apache Iceberg」テーブルへのクエリやデータレイクのスキーマやメタデータを自動的に取得するための「AWS Glue」との統合も可能になっている。
データ統合とデータ分析の簡素化
新たなサービスであるローコードベースの「Oracle Autonomous Database Data Studio」は、アナリストやデータサイエンティストがIT部門に頼ることなくデータをロード、変換、分析できるようにする。
オブジェクトストレージと同じコストで高性能なストレージを利用可能に
ADWのExadataストレージのコストを75%以上削減し、オブジェクトストレージのコストと同等にした。また、クエリ性能を最大で20倍高速化した。これによりユーザーは全てのデータをADWに保存して、実用的なインサイト取得までの時間を短縮できる。さらにこれらを低コストで実現可能だ。
激化するDWH市場 Oracleの意気込みは
説明会の中でランプキン氏は他社サービスとADWの違いについて、「競合他社のサービスは機能的な不足を補うために追加コンポーネントが必要である一方、ADWであれば全てネイティブ機能として備わっています」と自信を見せた。同氏が説明に挙げた競合サービスはAWS Redshift、Azure Synapse、Snowflakeの3つだ。
「ユーザーはDWHを利用してビジネスを成長させたいと思っており、どのように取り組むべきかを模索しています。ADWは既に広範囲にわたって機能を拡充しており、ユーザーの要望を満たせるでしょう」(ランプキン氏)
日本市場で今後、どのようにシェアを拡大していくかという筆者の質問に対し、ランプキン氏は「明確にシェアの話はできないが」としながらも、「ADWが他社サービスと比較して強力な競争力を持っていることは間違いありません。幅広い機能を持つADWはユーザーにとって魅力的なはずです」と見解を述べた。
今回発表された4つの新機能を含め、ADWがどのようにシェアを拡大しユーザーに認められていくのか。今後の展開に注目だ。
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