NVIDIAとServiceNow、大企業向け生成AIの開発に向けパートナーシップを発表
NVIDIAとServiceNowはエンタープライズ向け生成AI機能の開発に際したパートナーシップを発表した。生成AIにおける複数のユースケースを想定し、それに向けた開発を両社で進めるという。
NVIDIAとServiceNowは2023年5月17日(現地時間)、エンタープライズ向け生成AI(人工知能)機能の開発に際したパートナーシップを発表した。
両社はITに高精度とより高い価値を提供することで、企業全体の生産性を簡素化、向上させるための多くの生成AIのユースケースを検討するとしている。
NVIDIAとServiceNowが生成AI開発に向け連携 想定ユースケースは
パートナーシップによってServiceNowは、NVIDIAのソフトウェアやサービス、インフラストラクチャを使用し、「ServiceNow」プラットフォームに特化したデータでトレーニングされた大規模言語モデル(LLM)を開発する。
これによってServiceNowのAI機能が拡張され、さまざまな部署を含めた企業全体で生成AIの新たな使い方ができるようになる。この結果、ワークフローの自動化が強化され、生産性の向上が見込める。
ServiceNowは生成AIツールによって、NVIDIAのIT運用効率化も支援する。ML(機械学習)向けクラウドプラットフォーム「NVIDIA DGX Cloud」とオンプレミスのAIスーパーコンピュータ「NVIDIA DGX SuperPOD」で構成されたハイブリッドなクラウドインフラで稼働するAI導入サービス「NVIDIA NeMo」の基盤モデルをカスタマイズする。
NVIDIAとServiceNowは生成AIのユースケースとして、特定のITタスクに焦点を当てた専用のAIチャットbotを使用し、ユーザーの幅広い質問やサポートリクエストを迅速に解決できるインテリジェントな仮想アシスタントとエージェントの開発などを想定している。このチャットbotは企業独自のデータを使用してカスタマイズも可能だ。
生成AIのユースケースはカスタマーサービスエージェントにも適用できる。これによって、より正確なケースの優先順位付けが可能になり、時間を節約し、結果が向上する。カスタマーサービスチームは、(AIによる)自動的な問題解決や顧客事例の概要に基づくナレッジベース記事の生成、及びより迅速な引き継ぎ、解決、まとめのためのチャット要約に生成AIを使用可能だ。
NVIDIAの創設者兼CEO(最高経営責任者)のジェンスン・フアン氏は「ITはあらゆる業界のあらゆる現代企業の神経系です。エンタープライズ向けの生成AIを構築する今回のパートナーシップによって、ServiceNowプラットフォームを使用する全世界のITプロフェッショナルの能力と生産性が向上します」とコメントした。
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