シンプレクスがPagerDutyを導入 ミッションクリティカルなシステムの安定稼働を目指す
シンプレクスはミッションクリティカルなシステムにおけるインシデント対応を自動化するためにPagerDutyを採用した。製品の導入によって、人手に頼った従来の運用体制からどのような変化が生じたのか。
PagerDutyは2023年6月8日、金融機関などを対象にコンサルティングサービスを提供するシンプレクスが、インシデント管理プラットフォーム「PagerDuty」を採用したと発表した。金融業界を支える多様な商用システムや共通基盤、社内システムのインシデントを管理する。
インシデント対応時間を10分の1に コストカットも実現
シンプレクスは金融機関のコア業務を支えるミッションクリティカルなシステム構築や運用を担っており、障害発生時の一次復旧や恒久復旧などの項目を含むSLA(サービス水準合意:Service Level Agreement)の順守が厳格に求められている。また、インシデントの検知漏れや検知時間超過が大きなビジネスインパクトをもたらすということもあり、オペレーションミスも許されない。
だがシンプレクスはこれまで、インシデント管理を1シフト4〜5人の交代制で手動対応していた他、顧客企業の要件によって多様化するアラート対応によってオペレーションが複雑化しており、保守・運用担当者に高い負荷がかかっていた。また、事業発展に伴い担当プロジェクト数も継続的に増加しており、従来体制に基づく業務改善では根本的な解決が困難となっていたという。
こうした背景もあり、シンプレクスはPagerDutyを採用した。PagerDutyは連携された監視ツールからのアラートの優先順位を付け、緊急対応を要するインシデントを特定し、事前に設定された回付フローにのっとって開発担当者に通知する。これによって初動対応を自動化し、インシデント対処全体のスピードを向上させる。
シンプレクスは従来、インシデント検知やトリアージ、アクセス権の解放などに約10分を要していたが、対応時間を1分以内に短縮した。その他、初動対応を自動化してヒューマンエラーをなくし、運用体制を変革することで約30%のコスト削減も達成した。
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