IPAが「デジタル基盤センター」を設立 企業のデータ活用およびサービス開発を支援
IPAは「Society 5.0」の実現に向けて「デジタル基盤センター」を設立した。ビジネスやマーケティング、サプライチェーンの形成、イノベーション創出をサポートし、データ交換と共有を促進する。
情報処理推進機構(以下、IPA)は2023年7月3日、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって実現される「Society 5.0」の推進に向けて「デジタル基盤センター」を設立したと発表した。
IPAが設立したデジタル社会の基盤づくりにおける新拠点とは
デジタル基盤センターは、エンジニアリングを基礎として社会のトランスフォーメーションやイノベーションを促進するデータスペースを構築し、誰もがスムーズにサービスの恩恵を受けられ、新たなサービスを創出できる社会の実現を目指す組織だ。
2020年にIPAが立ち上げた、サイバー空間とフィジカル空間を連携するための複雑なルールや社会システムのアーキテクチャを設計する組織「デジタルアーキテクチャ・デザインセンター」(DADC)とミッションを共有し、「社会の変革を加速する両輪になる」という。
IPAによると、日本は高度成長期に道路や鉄道、ライフライン、工業団地といった社会インフラストラクチャの整備に向け、積極的に先行投資をして発展してきた経緯がある。この発展と同様に、デジタル基盤センターは「デジタル社会の基盤」を提供することで、ビジネスの展開やマーケティング、サプライチェーンの形成、変革やイノベーションの創出を促進するという。
データ駆動社会においては、データの質と量、それを使いこなす環境が産業競争力の源泉になる。そこでデジタル基盤センターの活動の柱として注目されるのが、データスペースグループによるデータスペースへの取り組みだ。データスペースは国や分野や組織を超えたインターネット上の活動空間であり、サプライチェーンや環境などさまざまなデータが交換および共有される。現在、国際的な新しい枠組みとして技術仕様やルールなどの検討が進められており、データスペースグループが標準体系の整備やそれに基づく設定を担う。
データスペースではソフトウェア開発が推進される。同グループではグローバルな視点で、デジタル技術の進展に応じた次世代のソフトウェア開発を実現するため、開発管理や安全性、品質確保に向けた手法の開発、オープンソースの推進などを強化する。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進においては、企業向けの取り組みと地域向けの取り組みを一体化してシナジーを創出し、イノベーションの創出に向けては、未踏事業の裾野を広げ、コミュニティーの拡大を図るなどの取り組みを進める。
IPAはデジタル基盤センターを約100人で開始し、グローバルな連携を図りつつ世界トップレベルのチームとして体制強化を図る予定だ。経済産業省やデジタル庁、その他の関連機関と協力して2025年までに基本的なデジタル基盤などの仕組みを提供することを目指す。
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