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Snowflakeが急減速? 「データの置きしぶり」を始めた米国企業

米国企業がクラウドデータウェアハウスを利用するデータを精査し始めている。Snowflakeの四半期決算説明会から見えるのはコスト最適化への強いニーズだ。生成AIへの投資で状況は変わるだろうか。

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CIO Dive

 クラウドベースのデータサービスを提供するSnowflakeが2023年5月24日に発表したところによると、同年4月30日までの3カ月間、顧客はデータ利用を控えており、同社はクラウド利用を最適化する必要性を感じている(注1)。

 同社の会長兼CEO(最高経営責任者)であるフランク・スルートマン氏は、2023年5月24日に行われた2024年度第1四半期決算説明会の中で、「われわれは需要が不安定な環境の中で事業を行っており、それが全体的な消費パターンに反映されていると見ている」と述べた(注2)。

 同社の命運は、ハイパースケーラー、特に2022年の収益率が横ばいもしくは減少しているAmazon Web Services(AWS)の行く末と結び付いている。「当社サービスの中でAWSを利用したものの割合は非常に大きいため、AWSは当社の『代理人』とでも言うべき存在だ。AWSが経験してきたことを、今まさにわれわれも経験している」と同氏は話す。

「コスト削減のお手伝い」をアピールするSnowflake

 Snowflakeのソフトウェアはプラットフォームに依存しているわけではない。しかし、インフレ率の上昇と金利引き上げが経済への信頼を揺るがしたことにより、同社が提供するデータストレージやアナリティクス関連のソリューションは、企業のIT支出の中でより一層精査され始めているクラウドに依存するようになった。

 2023年3月、同社は業界のクラウド市場を中心にAWSとの長年にわたるパートナーシップを延長した(注3)。同社の報告によると、当時の顧客の84%がAWSを導入していたとのことだ。

 クラウド市場のリーダーの1社であるAWSは、現在のワークロードを最適化することで顧客のコスト管理を助けると繰り返し約束してきた(注4)。

 Snowflakeの最高財務責任者(CFO)であるマイケル・スカーペリ氏は決算説明会で、2023年4月のSnowflakeの利用は大幅に鈍化したと述べた。

 「一部の企業は、古くて価値の低いデータを削除するため、データ保持のポリシーを改定した。これによりストレージ代を抑え、コンピュートコストも削減している」(スカーペリ氏)

 同氏によれば、顧客もまた大規模な長期契約を結ぶことをためらっているという。AWSと同様、Snowflakeも顧客が支出を最適化できるよう、利益率の向上を目指した戦略を採っている。

 コストを抑えるために、同社は全てのAWSワークロードをより効率的な「AWS Graviton2 プロセッサ」に移行し、ソフトウェアをアップグレードした。スカーペリ氏によると、同社は顧客と協力してデータストレージの保持方法の改善も行っているという。

 さらに、収益の伸びの鈍化に対応するため、社内のコスト管理策も実施してきた。同社の2024年度第1四半期の純収入は前年同期比48%増の6億2360万ドルで、前年同期の85%増から減少した。営業利益は2億7320万ドルの赤字で、2023年度第1四半期の1億8880万ドルの赤字から拡大した。

 「クラウドサービスプロバイダーのより有利な価格設定や製品の改善、パブリッククラウドデータセンターの規模拡大、大口顧客の継続的な増加が、前年比の売上総利益率の改善に寄与するだろう」とスカーペリ氏は述べている。

2023年後半に向けてApplicaの資産を生かした生成AIの投入も視野に

 さらに生成AI(人工知能)ツールの出現は、最適化の傾向と相反する可能性がある。

 2022年、SnowflakeはLLM(大規模言語モデル)と自動化ソフトウェアの会社であるApplicaを買収した(注5)。「Applicaのツールは現在、Snowflakeのプラットフォーム上でプライベートプレビューを行っているところだ」とスルートマン氏は決算説明会で話している。

 Snowflakeに置いたSalesforceのデータを使って生成AIを実行することは、同社がすでに社内でテストしているユースケースである。「これらのツールは2023年の後半にはプラットフォーム上に展開されるかもしれない」とスルートマン氏は述べた。

 同氏は「われわれはまだ、この技術の開発において『遊びとゲーム』のような状態にあるといえる。『ハイプサイクルの頂点』(ガートナーによる市場分析グラフにおける『過度な期待のピーク期』)にいるようなものだ」とも話している。

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