「ボイスbot市場」が急拡大 チャットbotよりも優れている点は?
ITRの調査によると、2022年度のボイスbot市場は高成長となり、今後も高成長が続く。チャットbotと比較してボイスbotが優れている点とは?
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は2023年8月22日、国内ボイスbot市場の規模推移と予測を発表した。
急成長のボイスbot市場 チャットbotと何が違う?
同調査におけるボイスbotは、AI(人工知能)による音声認識や自然言語解析技術を活用し、電話での問い合わせに対応する音声受付や回答を支援する製品やサービスを指す。
音声による自動受付、振り分けやシナリオ作成などを主な機能とし、FAQ作成管理機能を活用して自動回答したり、音声認識や回答の精度を自動的に向上したりする機能を備えるものもある。
ボイスbot市場における2022年度の売上金額は19億円で、前年度比49.6%増と高成長を示した。2023年度は同65.8%増と、2022年度を上回る伸びを見込んでいる。
同調査によると、大企業が発注する大口案件を中心に着実にユーザーが増加している。音声認識や自然言語処理技術の進歩に伴い、ボイスbotの品質と応答能力が向上し、「顧客対応の改善や業務効率化が図れる」として認知度と期待度が年々高まっていることも明らかになった。
ボイスbot市場の2022〜2027年度のCAGR(年平均成長率)は35.9%で、2027年度は88億円に達するとITRは予測している。
ITRの三浦竜樹氏(プリンシパル・アナリスト)は「カスタマーサポートにおける電話対応の負荷軽減を目的にチャットbotの採用が急速に進んでいる。しかし、電話応答の窓口を存続させながら大幅な呼量(注1)削減を実現できている企業は少ない」と指摘する。
「ボイスbotであれば、バーチャルオペレーターとして電話対応を望む顧客への対応が可能になる。音声認識や音声合成、チャットbotなどのAI技術の集合体であるボイスbotは、最近の大規模言語モデル(LLM)の適用によって、より自然な会話で精度の高い回答をする可能性が急速に高まると予想される」とコメントした。
(注1)1回の通話に対してかかる通話時間。
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