IDC Japan(以下、IDC)は2023年8月24日、国内におけるIoT(モノのインターネット)プラットフォームに関する調査結果を発表した。
利用率が高まっているIoTプラットフォームは?
同調査では、IoTプラットフォームを提供する事業者の競争優位性や特徴、戦略などを把握するため、提供プラットフォームの構成要素やソリューションの提供形態、注力領域の違いによって5つに分類した。具体的には、IoT向けの通信サービスを提供する事業者を「包括的なIoTプラットフォームを提供する通信事業者」と「IoTネットワークサービスを提供する新興企業」に分類し、その他の事業者を「ビルディングブロックを提供するクラウドサービス事業者」「ビジネスコンサルティングを提供する大手SIer(システムインテグレーター)」「多様な機器への接続性などを強みとする新興企業」に分類した。
上記の分類を基に、同社が2022年8月に行った「IoT担当者調査」の結果を併せてIoTプラットフォームの利用状況を分析したところ、「ビルディングブロックを提供するクラウドサービス事業者」と「多様な機器への接続性などを強みとする新興企業」が提供するIoTプラットフォームの利用率が高まっていることが分かった。
クラウドサービスはIoTの用途に限らず利用企業が多く、利用に当たって必要なスキルを持つエンジニアも多いため、クラウドサービス事業者が提供するIoTプラットフォームを利用する企業は、今後も増加するとIDCはみている。
また、IoTプラットフォームを提供するITベンダーを対象に実施した調査からは、この1〜2年で増加したユースケースとして、画像を活用する用途があることが分かった。
さらにIoTプラットフォームにおいて成長性や潜在需要が大きいユースケースには、物流分野の用途、IoT向けの衛星通信や生成AIなど新技術を活用する用途があるとIDCはみている。
IDCの山下頼行氏(Infrastructure & Devices リサーチマネージャー)は、「IoTプラットフォームを提供する事業者の5分類のうち、競争の中心となっているのはクラウドサービス事業者だ。それ以外のIoTプラットフォーム提供事業者はクラウドサービス事業者との差異化を基礎に戦略を組み立てるべきだ」とコメントした。
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