「経営陣は俺たちを軽視している」 ガートナー調査で判明したIT運用担当者の“不安と不満”
ガートナーの調査によると、多くのIT運用担当者がキャリアパスと待遇に不安や不満を感じている。その理由とは。
ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2023年9月14日、IT運用担当者が専門スキルの獲得機会の欠如や待遇、評価面で不満を抱えており、適切なキャリアパスをたどれないことへの不安につながっているとする調査結果を発表した。
IT運用担当者は“冷遇”されているのか? 調査から分かった不満の正体
ガートナーは2023年4月に国内の従業員500人以上の組織を対象として調査を実施した。調査によると、ITオペレーションに関わっている対象者に現在の職種からのキャリアパスについて尋ねた結果、過半数の回答者がキャリアパスに何らかの不安や不満を抱えていることが明らかになったという。
調査では、キャリアパスに不安を感じたり、そのために異動や転職を考えるに至る具体的な理由として「新しい技術に触れる機会がない」(62.5%)、「他のIT部門のメンバーと比べて昇給・昇進が遅い」(59.3%)、「重責であるにもかかわらず、待遇が悪い/評価されない」(57.1%)などが挙げられている。
IT運用担当者がキャリアパスに不安を抱く理由のランキングは以下の通りだ。
- DevOpsやクラウド、SRE(Site Reliability Engineering)、コンテナなど新しい技術に触れる機会がない
- IT運用担当者は他のIT部門のメンバーと比べて昇給や昇進が遅い
- ワークロードが高く重責であるにもかかわらず、待遇が悪いまたは評価されない
- IT部門でありながらエンジニアとしての専門性が身に付かない
- オンコールのシフトや残業が多く、永年勤続ができない
- 経営陣がIT運用と担当部門を軽視している
- CIO(最高情報責任者)や上長がIT運用担当者の育成やキャリアパスを考えていない
今回の調査結果は、IT運用担当者がIT部門に従事しているにもかかわらず、エンジニアとしての専門性が身に付かないことに不満を感じ、さらにそれが将来に対する不安につながることで転職を決意させる動機になっていることを示唆している。その他、業務の負荷が高い割に給与が他のIT部門の従業員と比較して冷遇されていると感じている点も不満をあおっていることがうかがえる。
ガートナーはこうした不満を改善するために、短期的には業務改善や運用の自動化などを実現させてIT運用担当の負担を軽減するとともに、日々の業務の中で新技術を習得できるようにすること、他の部門から評価されるように仕事のスタイルを変化させる取り組みを実施することが求められると指摘している。
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