改正電帳法施行でサービス導入企業が大幅増加 ITRが予測
改正電子帳簿保存法の施行によって、2024年1月から電子データ保存が義務化される。このタイミングで電子請求書発行サービスを導入する企業はどの程度あるのか。また、請求書が電子データで保存されるようになることで、今後予想されることとは。
アイ・ティ・アール(以下、ITR)は2023年9月21日、国内の電子請求書発行サービス市場の規模推移および予測を発表した。
サービス導入企業が増加 電子データ保存が与える影響は?
同レポートは「ECサイト構築」「CMS」「SMS送信サービス」「電子請求書発行サービス」「電子請求書受取サービス」「電子契約サービス」の全6分野を対象に、国内65ベンダーを対象とする調査に基づいた2021〜2022年度売上実績および2027年度までの売上予測をまとめたものだ。詳細は同日発行された市場調査レポート「ITR Market View:ECサイト構築/CMS/SMS送信サービス/電子請求書サービス/電子契約サービス市場2023」に掲載されている。
電子請求書発行サービス市場の2022年度の売上金額は87億円で、前年度比42.6%増となった。2023年度も同44.0%増と2022年度を上回る高い伸びを見込む。
改正電子帳簿保存法施行に伴い2024年1月から請求書の電子データ保存が義務化されることから、電子請求書発行サービスの導入企業は増加している。同サービスを利用することで、郵送代や印刷代などのコスト削減、リモートワーク下での対応といった発行や管理における業務効率の向上、セキュリティの強化などが可能になる。
このような動きから、参入ベンダーも増加しており、同市場の2022〜2027年度のCAGR(年平均成長率)は24.0%となり、2027年度には255億円に達すると予測する。
ITRの三浦竜樹氏(プリンシパル・アナリスト)は「コロナ禍での働き方の変化やインボイス制度、改正電子帳簿保存法施行に伴う請求書の電子保存の義務化によって、請求書の発行だけではなく、受領においても電子化が急速に進展している。請求書の発行・受領の一元管理が進んでおり、今後はさらに請求書に対する支払いの会計システムへの消し込みなど、請求書に関連する業務のDXが進展する」と予測している。
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