日本企業が今、投資しているテクノロジーは? ガートナーが分析
国内企業がデジタル変革を推進するために多く導入しているテクノロジーは何か。ガートナーの調査から、新しいテクノロジーを導入するに当たっての「壁」が浮かび上がった。
ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2023年11月7日、国内企業のデジタル変革を推進するテクノロジーの導入状況に関する調査結果を発表した。
日本企業が今、多く導入しているテクノロジーは?
同調査は、国内企業を対象に2023年4月に実施されたユーザー調査で、デジタルの推進に関わるテクノロジーの導入状況を尋ねた。
その結果、国内では、半数以上の企業や組織が、オンプレミスかクラウドかを問わず、「IoT(モノのインターネツト)プラットフォーム」の評価、検証または導入を行っていると回答した。
ガートナーの池田武史氏(バイス プレジデント アナリスト)は「デジタル変革を推進するために重要なデジタルツインやIoT、5G、AI(人工知能)などのテクノロジーの評価や採用は、2019年調査時と比べて徐々に拡大している。経営陣の直下に推進部門を作るなどの体制も整えつつあり、企業や組織の未来を見据えた取り組みの推進に当たっては、テクノロジーの実装が欠かせない」と分析する。
IoTプラットフォームは、デジタルを実現する中核的なテクノロジーの一つであり、対象となる人やモノ、システムなどの現状をデータとして収集、分析して、次のアクションに向けた意思決定や提案のための新たな仕掛けの基盤となる。
IoTプラットフォームに続いて回答の多かった「5G」「エッジコンピューティング」「センシング」「カメラ画像のML(機械学習)を含むAIによる分析」などは、IoTプラットフォームと連携し、デジタルを推進する際に多く採用されるテクノロジーだ。
その他には「省エネ化」「サイバーセキュリティ対策」「ロボットやドローン」「ローカル5G」などが採用されていることが明らかになった。
池田氏は「デジタル化を推進するには、自社と業界の従来のビジネスモデルを大きく変革する必要がある。この取り組みは自社だけでは実行できないため、ビジネス導入に苦心するユーザー企業もベンダーも多くみられる」と指摘する。同社への問い合わせでも、こうした「壁」に直面してビジネス成果を短期間で得ることが難しいという悩みに言及する企業が多いという。
こうした状況を受け、池田氏は「デジタル変革を推進するテクノロジーイノベーションのリーダーは、既に取り組んでいる評価、検証や実装が次のステップで自社の未来にどう貢献するのかというグランドデザインを明確にし、顧客やパートナーの共感を得ることが重要になる。経営陣や組織のリーダーは進むべき方向を指し示し、短期的な成果だけでなく、自社にとっての有益性を中長期的な視点でしっかり把握し、骨太な推進体制を確立する戦略とリーダーシップが必要になる」と述べた。
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