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OfficeやPDF形式のファイルの悪用が増加 2023年カスペルスキー調査:セキュリティニュースアラート
カスペルスキーは2023年のサイバーセキュリティに関する年次統計レポートを発表した。2023年1〜10月までの10カ月間で検知した悪意あるファイルの件数は2022年から3%増加し、1日当たり41万1000件だった。
カスペルスキーは2023年12月12日、2023年におけるサイバーセキュリティについてまとめた年次統計レポート「Kaspersky Security Bulletin 2023. Statistics」を発表した。
Kasperskyが明らかにする2023年のサイバーセキュリティ動向
カスペルスキーの調査によると、2023年1〜10月までの10カ月間で検知した悪意あるファイルの件数は2022年から3%増加し、1日当たり41万1000件だったという。
報告されている主な注目ポイントは以下の通りだ。
- 2023年1〜10月までの10カ月間に検知した新規の悪意のあるファイルの数は1日当たり平均41万1000件で、合計で約1億2500万件だった
- 主な攻撃対象は「Windows」で1日当たりに検知したマルウェア全体の約88%を占めていた
- 1日当たりの検知件数が増加していたのは「Microsoft Office」やPDFといったドキュメント形式の悪意のあるファイルだった。増加率は前年同期間比53%、件数は約2万4000ファイルまで増加している
- 最も拡散されたマルウェアはトロイの木馬(バックドア使用)だった。2022年は検知したファイルが1日当たり1万5000件だったが、2023年は4万件まで増加した
カスペルスキーは、Microsoft OfficeやPDFといったドキュメント形式の悪意あるファイルが増加した理由について「標的からデータを窃取することを目的としたフィッシング詐欺の増加と関連している可能性がある」と指摘している。
Kasperskyのアンチマルウェアリサーチグループリーダーを務めるウラジミール・クスコフ氏は「サイバー脅威を巡る状況は絶えず変化しており、年々危険度が増している。攻撃者は組織や個人を攻撃するための新たなマルウェアや技術、手法を開発し続けている。報告される脆弱(ぜいじゃく)性の数も増加している。また、現在ではAI(人工知能)の普及によってサイバー犯罪への参入を妨げる障壁も下がってきている。例えばAIでフィッシングメールをより本物らしく作成できる」とコメントしている。
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