日本人は働きすぎはウソ? 日本企業が燃え尽き症候群の割合が最も低いと判明:セキュリティニュースアラート
Sophosの調査によると、アジア太平洋地域の組織の9割が燃え尽き症候群の増加を経験しているが、日本は燃え尽き症候群と疲労のレベルが低いことが分かった。
Sophosは2024年2月5日(現地時間)、アジア太平洋地域と日本におけるサイバーセキュリティの課題を調査したレポート「The Future of Cybersecurity in Asia Pacific and Japan」の最新版である第4版を公開した。
9割の企業がこの1年で“燃え尽きている”が、なぜか日本は元気
ソフォスは2023年9月に、テック・リサーチ・アジア(TRA)にこのレポートの調査、作成を委託した。調査ではオーストラリア(204社)、インド(202社)、日本(204社)マレーシア(104社)、フィリピン(103社)、シンガポール(102社)から合計919件の回答を得た。
今回のレポートはサイバーセキュリティの“燃え尽き症候群”と“疲労”に焦点を当て、アジア太平洋地域および日本の組織と従業員に与える影響を調査した。
レポートの主な注目ポイントは以下の通りだ。
- 組織の30%が調査時から数えた直近12カ月間で燃え尽き症候群の感情が「大幅に」増加したと回答した
- 専門家の41%が調査時から数えた直近12カ月間で燃え尽き症候群のせいでサイバーセキュリティへの「勤勉さが低下した」と回答した
- 企業の85%が「サイバーセキュリティやIT専門家の間で疲労や燃え尽き症候群を経験した」と回答した。約4人に1人が「頻繁に経験」していると回答し、62%が「時々経験」していると回答した
- 燃え尽き症候群や疲労のまん延は減少しておらず、企業の90%が「調査時から数えた直近12カ月間で燃え尽き症候群と疲労が増加した」と述べ、そのうち30%は「大幅に増えた」と回答している
- 日本は燃え尽き症候群と疲労のレベルが低い。このため日本のデータが平均値を引き下げている。日本を除くとオーストラリアやインド、マレーシア、フィリピン、シンガポールでの燃え尽き症候群のレベルは全組織の80%以上になっている。これに対して日本は69%となっている
- サイバーセキュリティのリーダーがCEOに直接報告する割合は日本が最も低い。また、ITスタッフがサイバーセキュリティの責任も負っている組織の割合は日本が最も高い
レポートはサイバーセキュリティやIT担当者の90%が燃え尽き症候群や疲労によって悪影響を受けていると指摘している。また、レポートはサイバー疲労が事業運営に与える主要な領域として次の内容を説明している。
- 生産性の低下。燃え尽き症候群や疲労によって生産性が平均で1週間に4.1時間低下した
- 侵害への直接的な関与。サイバーセキュリティ侵害の一因となったり、サイバーセキュリティインシデント対応時間の遅延を引き起こしたりしている
- 退職と従業員の異動。燃え尽き症候群や疲労が直接的に退職の原因になっている
レポートはサイバー疲労と燃え尽き症候群が従業員と企業のサイバーセキュリティ能力の両方に悪影響を及ぼす重大な問題であることは明らかだとし、技術による支援を提供するとともに、取締役会のレベルで認識を高め全社的な強力なサイバーセキュリティ文化を構築することが必要だとしている。
今回の調査結果では日本がアジア太平洋地域の他の国と比較して幾つかの点で特異な傾向を持つことが示された。サイバー疲労や燃え尽き症候群の経験割合が他国と比べて明らかに低く、取締役会におけるサイバーセキュリティ関連法案への関心の低さなども目立つ。
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