その生成AI、本当に必要ですか? 冷静な製品選定に必要な4つの観点:CIO Dive(1/2 ページ)
生成AIブームともいえる状況で、多くの企業が生成AIの活用を進めようとしている。しかし現実には「生成AIを使用している」と言っているだけの製品や十分な実績がない製品も存在する。本稿では冷静な製品選定に必要な4つの観点を紹介する。
生成AI(人工知能)への関心が業界全体に広がる中、企業のリーダー層は生成AIベンダーに過度な期待を抱いている。しかし生成AIツールが持つリスクや制約はいまだ完全には分かっていないのが現状だ。
ユーザー体験の向上や業務効率化、管理負担の軽減を図るためにCIO(最高情報責任者)が生成AIに注目する中、リーダー層や購買部門はソリューションの選択時に撤退のタイミング、そして生成AIを使った取り組みを推進する際にどのようなリスク緩和策を展開すべきかを知っておかなければならない。
盲信は危険 ベンダーと製品の見極めに必要な4つの質問
「ベンダーは生成AIを最低限しか使用していない、もしくは全く使用していない場合でも『生成AIを使用したツールだ』とうたうことがある。ベンダーからの採用するまでもないような提案に踊らされないよう、ITリーダーはそのソリューションが関連する分野の課題を本当に解決できるのか、ベンダーが課題解決の実績を提示できるのかを見極めなければならない」とソフトウェア会社のABBYYでAI戦略シニアディレクターを務めるマキシム・ヴェルメア氏は述べている。
同氏は潜在的なリスクを特定するために、以下4つの観点について検討するようITリーダーに推奨している。
- そのAIソリューションはビジネス上の課題を解決できるか
- そのAIベンダーは実績を提示できるか
- そのAIソリューションは倫理的で信頼できるか
- そのAIベンダーは導入後も継続的なサポートと改善を約束できるか
ITリーダーがベンダーのデューデリジェンス(価値・リスク評価)を実施すると、危険なサインが見つかることもある(注1)。
そのためCIOは、契約条件やAIモデルの詳細、期待される効果などを詳細に評価する必要がある。しかしWilson Sonsini Goodrich & Rosati法律事務所のフィンテックおよび金融サービス担当パートナーであるエイミー・カイアッツァ氏によれば、ベンダーが説明したリスク、もしくは導入過程で明らかになったリスクの全てを均等に評価する必要はないという。
全ての生成AIソリューションには長所と短所がある。そしてほとんどの生成AIソリューションには一定のリスクが伴う。生成AIから正確なアウトプットが得られないという点は、経営陣にとって共通の懸念事項の1つだ(注2)。これに対してCIOは従業員にファクトチェックのスキルを身に付けさせ、生成AIのアウトプットを評価する際に懐疑的な見方をするよう促すことで対応できる(注3)。しかし、他のリスクはそれほど簡単に解決できない。
「危険なサインや問題がありそれに対処できない場合、その技術は本当に重要なのか、そのベンダーを利用する必要があるのかを考える必要がある」と同氏は言う。
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