「楽曲制作意欲を阻害する現場」はBIツールでどう変わるか バンナムグループ音楽制作会社の挑戦
楽曲リリース直後の売り上げしか把握できず、従業員のモチベーションが阻害されていた制作現場。BIツールはどう貢献できるのか。
ドーモは2024年3月19日、同社のBIツール「Domo」をバンダイナムコミュージックライブが導入したことを発表した。バンダイナムコミュージックライブは音楽制作現場での事業分析に同ツールを利用する予定だ。
作品の成果分からず「制作意欲を阻害」 BIツールでどう変わるか
アニメのサウンドトラックなどを制作するバンダイナムコミュージックライブの制作部では、楽曲リリース直後の売り上げしか把握できないため、サウンドトラック制作が利益につながっているのか確信が持てず、制作をためらう場面もあるという。
また、楽曲の管理などを行う同社ライツ部では、同じ音源に関するレポートが利用方法ごとに個別で届くため、確認に時間がかかり、データ分析に工数を割けないことも課題だった。
その他の部門でも売上目標や予算を管理するためのデータの必要性が高まり、全社共通のデータ活用プラットフォームが求められていた。
同社はこれらの課題を解決するためにDomoを採用し、作品ごとに二次利用の詳細を可視化して音楽配信や原盤、著作権、ライブ、グッズなどの売上実績も全て集約する見込みだ。これにより、作品担当者は長期的な視点で制作に取り組めるようになり、制作意欲の向上やクリエイティビティの発揮につながることが期待される。
また、YouTubeやTikTokなどに使われている楽曲をリアルタイムに可視化することで、時流に沿った楽曲制作を実施し、ビジネスチャンスの拡大を図る。
従業員が自走できることを重視
バンダイナムコミュージックライブは、Domoがデータの収集から管理、活用までの幅広い機能を提供しており、従業員が自走しやすい使いやすさを備えている点を評価した。
日本レコード協会の『令和4年度事業報告書』によると、商業用レコードの二次使用料・複製使用料等の徴収額の合計は90億2200万円となり、前年度比9.8%増だった。二次利用による売上増加は音楽制作現場の意欲につながるか、BIツールの活用が鍵になるかもしれない。
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