ERP導入、一気にやるのと段階的にやるのはどっちが良い?(1/2 ページ)
ERP導入の進め方には「ビッグバン・アプローチ」と「段階的アプローチ」がある。本稿ではそれぞれのメリットとデメリットについて紹介する。選択にはさまざまな要件が影響するため、プロジェクトリーダーは慎重に評価する必要がある。
ERP導入のプランニングは難しく、適切な導入アプローチの選択が要となる。プロジェクトリーダーはさまざまなアプローチを慎重に評価して、確実に成功するための手助けをしなければならない。
ここでいうアプローチとは、必要な機能を全て同時に一括して導入・稼働する「ビッグバン・アプローチ」と「段階的アプローチ」だ。それぞれメリットとデメリットがあるため、リーダーは組織のニーズや予算、スケジュール、必要なリソースを考慮する必要がある。プロジェクトチームやベンダー、導入パートナー、主要なステークホルダーとも協議すべきだ。
ここでは、ビッグバン・アプローチと段階的アプローチについて、それぞれのメリット、デメリットを解説する。
ハイリスクハイリターン ビッグバンの無視できない欠点とは
ビッグバン・アプローチを追求すると結果的に大きな恩恵を得られるが、リスクもある。
ビッグバン・アプローチでは、プロジェクトチームは稼働開始前にERP全体を設計する。データを移行したり、稼働開始直後に旧システムを停止したりするなど、ERP全体とそれに付随するシステムを一度に導入するのが目標だ。このアプローチの主なメリットは、プロジェクトチームが1段階でプロセスを完了するため、従業員が全ての新機能をすぐに利用し始められる点だ。
ビッグバン・アプローチでは、プロジェクトチームが旧システムを統合する必要がない。理論上は、従業員が新システムの利用を開始し、場合によっては問題を発見する中で、チームは稼働開始してからサポートするだけでいい。
一方で、ビッグバン・アプローチには大きなデメリットがある。ビッグバン・アプローチを追求すると、結果としてプロジェクトの規模が広範にわたり、費用やスケジュール、リソース面で問題が生じるリスクが増す。
ビッグバン・アプローチでは、導入が完了するまで待たないと従業員が新しいERPを利用できないため、従業員側からシステムについてプロジェクトチームの役に立つかもしれないフィードバックを返せない。
プロジェクトチームがビッグバン・アプローチでの導入中に大きな問題を発見した場合は、方針転換して段階的アプローチに移行する必要があるかもしれない。その場合、新しいスケジュールや予算、リソース要件を決定するなど、多くのプランニングをやり直さなければならないだろう。チームのメンバーが導入作業に充てられる時間が減るため、こうした予想外のプラニングはプロジェクトのスケジュールにも悪影響を及ぼす。
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