ERP導入、一気にやるのと段階的にやるのはどっちが良い?(2/2 ページ)
ERP導入の進め方には「ビッグバン・アプローチ」と「段階的アプローチ」がある。本稿ではそれぞれのメリットとデメリットについて紹介する。選択にはさまざまな要件が影響するため、プロジェクトリーダーは慎重に評価する必要がある。
段階的アプローチが安定感の代わりに失うもの
段階的アプローチは、全体的なリスクは低いがやはり問題が生じる可能性もある。
段階的アプローチでは、プロジェクトチームが複数の段階を踏んでERPを導入するため、従業員は各段階後に新機能を利用できる。従業員は、導入が進む中で継続的にフィードバックできるため、プロジェクトチームがその後の段階のプランを練るのに役立つ可能性もある。例えば、従業員は特定の機能をできるだけ早急に導入するようプロジェクトチームに求めるかもしれない。
また、段階的アプローチを採用することで作業の範囲が狭まる。プロジェクトチームは作業や依存性、予算、必要なリソースを容易に推測でき、段階ごとに作業すべき範囲が狭いため、予想外の問題からの復旧も容易だ。
段階的アプローチのもう一つの利点は、プロジェクトチームが主要なリソースに依存する時間が短縮され、1段階が完了する前にチームのメンバーがプロジェクトを離れるリスクが減ることだ。
リスクを減らす助けになる一方で、それでも非常に大規模な作業を必要とする段階があるかもしれない。例えば、チームは最初の段階で新しいERPの基本的機能の多くを実装することがあり得る。その場合、新しいERPを運用可能にするために多くの機能を導入することになり、そうした段階の作業範囲はとても広くなりがちだ。
逆に、最初の段階でチームが実装する機能が少なすぎれば、従業員は新システムに不満を感じる恐れがあり、導入に悪影響を及ぼしかねない。必要な機能をチームが新しいERPに実装するまで旧システムを使い続ける必要がある場合も、従業員が不満を抱く可能性がある。
また、旧システムをサポートするために、チームは統合作業を計画および実行する必要があるかもしれない。
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