検索
コラム

生成AIは2025年には“オワコン”か? 投資の先細りを後押しする「ある問題」CFO Dive

世間の注目が生成AIに集まる中、デロイト トウシュ トーマツが実施した調査によると、CFO(最高財務責任者)の3分の2近くが今後、生成AIへの投資を控えようとしているという。その背景にある「ある問題」とは。

Share
Tweet
LINE
Hatena
CFO Dive

 4大会計事務所のDeloitte Touche Tohmatsuが米国やカナダ、メキシコの上場・非上場企業のCFO(最高財務責任者)116人を対象として2024年2月に実施した世論調査によると、多くのCFOが生成AIの実際のビジネス価値を測定する難しさに頭を抱えており、2025年には生成AIへの投資を控えようとしているという(注1)。

生成AIは2025年には“オワコン”に?

 ビジネス界における生成AIへの関心は爆発的に高まっており、Gartnerは2026年までに80%以上の企業が何らかの形で生成AIを導入すると予測している(注2)。

 McKinsey & Companyは生成AIは現在から2030年にかけて、ほぼ全ての職種において最大70%のビジネス活動の自動化を可能にし、世界経済に数兆ドルの価値をもたらすと見ている(注3)。

 一方で、Deloitte Touche Tohmatsuの見立ては少々悲観的だ。

 同社は「多くの企業が投資を検討する中で、生成AIに関連する多くのリスクと課題に取り組んでいる」と指摘する。

  2024年3月18日(現地時間)に発表されたDeloitte Touche Tohmatsuの2024年第1四半期「CFO Signals」の調査によると、回答者の62%が「2025年は生成AIに割り当てる額が組織予算の1%未満になる」、回答者の37%は「生成AIに充てる予算は全体の1〜10%にとどまる」と予想している。「10〜25%を充てる」と答えたCFOはわずか1%だった。

 この結果を受けて、同社のスティーブ・ガルッチ氏(グローバルおよび米国CFOプログラムリーダー)は「生成AIに対して慎重なアプローチを取ることで、CFOは貴重な時間と資金を投入する前に、この技術がビジネスにどのような効果をもたらすかを見極めようとしているのかもしれない」と、報告書の中で述べた。

 「監視役であり戦略家でもあるCFOは、競争優位性や生産性向上、それ以外の目標がある中で、適切なガイドラインの下、AIをどのように活用するのがベストなのかを企業が判断できるよう支援する重要な役割を担っている」(ガルッチ氏)

 Deloitte Touche Tohmatsuの調査に回答した財務責任者の10人中7人は、「生成AIの活用によって生産性が1〜10%向上する」と予想しており、回答者の13%は「それ以上の生産性向上を期待」している。

 同調査では、CFOが生成AIの価値を測定する方法についてさまざまな見解が示された。この質問に対して回答者が最も多く挙げたのは「労働力への影響、生産性、効率性」(40%)で、「コスト削減、経費削減」(29%)、「投資利益率、成長指標」(16%)との回答が続いた。「生成AIへの投資価値を測定するために使用する適切な指標が不明確、もしくは測定方法が現状不足している」との回答は30%に上った。

 「この不確実性は、過去のデータが限られている生成AI導入の初期段階から生じているのかもしれない。CFOは生成AIの潜在的な可能性を理解した上で生産性の向上を期待するが、具体的な成果をどのように測定するのがベストなのか、初期段階では模索中だ」(ガルッチ氏)

 財務部門における生成AI導入の主な障壁に関する質問に対して、CFOの多くが「技術スキルの格差」や「採用リスク」「文化と信頼の問題」などの懸念事項を挙げている。

© Industry Dive. All rights reserved.

ページトップに戻る