NTT東日本と東大が協創協定を締結 「地域と同じ目線」で地域循環型社会を実現できるか:Weekly Memo(1/2 ページ)
東京大学とNTT東日本が地域循環型社会の実現に向けて産学協創協定を結んだ。「果たして世の中にどれだけのインパクトを与えるのか」という問いに両者のトップはどう答えたか。
「地域の皆さんと直接お話しする中で、地域ごとの新たな価値創出に貢献したい」(東京大学の藤井輝夫総長)
「都市への一極集中や地域格差といった課題解消に向け、両者の強みを生かしたい」(NTT東日本の澁谷直樹社長)
東京大学とNTT東日本は2024年4月17日、地域循環型社会の実現に向けた自律型・分散型の地域を支える次世代デジタルネットワーク基盤の構築と社会起業家の創出を目的とした産学協創協定を締結し、共同で記者会見を開いた。上記の両者のトップの発言は、今回の協定における意気込みを述べたものだ。
東京大学とNTT東日本が取り組む協創事業とは
両者の発表では、「『つながる地域 新しいミライ』をテーマに、東京大学の持つ多様で先端的な研究や長い歴史のある教育システムと、NTT東日本の持つ地域密着のエンジニアリング力や先端的なネットワーク・技術力を活用したフィールドでの実践を通じて、これからの日本を支える、各地域が自律的に経済活動や日々の生活が営めるような自律型・分散型社会の主導に挑む」としている(図1)。
両者の協創事業は、「自律型社会の主導(Autonomous Society Initiative)」と「分散型社会の主導(Decentralized Society Initiative)」といった2つの取り組みを軸としている。
自律型社会の主導は、「地域が自律する上で必要なのは自然や文化、食など、地域独自の価値を創造する『ソーシャルイノベーション』を実現する、社会起業家やまちづくりを担う人材を育成すること」との認識の下、東京大学の先端的な教育システムとNTT東日本の地域活性化のノウハウを生かし、ケーススタディを基に人材育成手法を深化させる。さらに、自治体と協働し、実フィールドで地域の人々と共に課題に向き合い、対話を重ね、求めている姿を理解するデザインシンキングやワークショップを実施する。こうした取り組みを通して、地域に寄り添った持続可能な社会システムを創出する構えだ。
分散型社会の主導は、「人口、産業などの社会資本が一極集中ではなく多極分散であることは、多様性やレジリエンス、環境負荷などの観点からとても重要」との認識の下、地域で効率的にイノベーションを起こせる社会を創る上で必要な次世代デジタルネットワーク基盤を最先端テクノロジーを活用して実装する構えだ。
具体的には、次の3つのコンセプトを掲げ、東京大学の先端的実験環境においてNTT東日本のネットワーク基盤などを活用し、有効性を検証の上、実装するという。
- 分散した社会での協働が可能になる、物理距離を感じさせないネットワークにより、対面の効率性を越えた新たな協働の世界を目指す
- ネットワーク上に柔軟性の高いコンピュート機能を配置することで、分散した地域社会の要望に応じたデータ処理をネットワーク上で実現する
- 膨大なデータをシンクロさせ、無数のデバイスを管理し協調させることで、よりリアルなデジタルツインなど、新たな価値を創出する
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