VMware買収の真の狙いは? Google Cloud Nextで見えたBroadcomのビジョン
BroadcomによるVMware製品ポートフォリオ変更とライセンス体系見直しは既存ユーザーを困惑させてきたが、ようやくその狙いが見えてきた。
VMwareを買収し、製品ポートフォリオやライセンス体系の整理を進めてきたBroadcomが、VMwareユーザーのクラウド移行推進を本格化させる。
2024年4月、Googleは自社イベント「Cloud Next'24」においてBroadcomとのパートナーシップ拡大。併せてBroadcom製品群のGoogleマーケットプレースへの投入、Googleが開発する生成AIの製品への取り込みも発表した。
これに先立つ2024年2月には「VMware Cloud Foundation」のライセンスを「Google Cloud VMware Engine」(GCVE)に移行可能にする計画を発表していた。VMware Cloud Foundationのライセンスを持っていれば、そのライセンスをGoogle Cloud VMware Engineのライセンスに適用できる仕組みだ。
パートナーシップ拡大の中身とその狙い
今回発表されたパートナーシップ拡大の中身は次の4点だ。
新たに発表されたパートナーシップは2社共同でのVMwareユーザーのクラウド移行推進と、Google CloudをITインフラの基盤とした運用環境の最適化支援策だと言える。
- VMwareワークロードのGoogle Cloud向け最適化を推進
- 共同での市場開拓
- BroadcomプロダクトおよびサービスをGoogle Cloudマーケットプレースに追加
- Broadcom製品へのGoogle Cloudの生成AI機能組み込み
VMwareワークロードのGoogle Cloud向け最適化を推進
VMwareワークロードをGoogle Cloudに移行することでGoogleのコアプラットフォーム機能を利用できる。「Vertex AI」を活用した顧客体験向上も可能だとしている。GoogleはVertex AIの活用例としてBroadcomにおけるセキュリティソリューション「SymantecAI」の高度化を例に挙げている。
共同での市場開拓
両社はプロダクトおよび市場開拓部門で連携を強化し、顧客サポート品質の向上を図る。この連携には、クラウド移行に当たって課題となりやすいネットワーク回りのインテグレーション強化も含まれており、両社顧客のITインフラのモダナイズ推進を強化する狙いがある。
BroadcomプロダクトおよびサービスをGoogle Cloudマーケットプレースに追加
今後、Google Cloudマーケットプレースに「Symantec Network Protection」を含む復数のBroadcom製品を追加する。
既にマーケットプレースでは「AppNeta」「Clarity」「Rally」などのクラウドネイティブな運用向けソリューションや「VMware Tanzu Application Service」、分散型KVSである「Gemfire」やメッセージキューイングシステムである「RabbitMQ」が提供されており、モダンなIT基盤運用向けの機能がそろっている。
Broadcom製品へのGoogle Cloudの生成AI機能組み込み
「SymantecAI」におけるVertex AIの活用は前述した通りだが、Broadcomは今度、同様に自社製品群に生成AI機能を盛り込んでいくとしている。
VMwareを買収したBroadcomは2023年12月に製品ポートフォリオとライセンス体系の刷新を発表していた。永続ライセンスを廃止し、「VMware Cloud Foundation」「VMware vSphere Foundation」の2つのラインアップに整理する一方、無償版ESXiの提供を停止するなど、変更点が大きかったことから既存VMwareユーザーに混乱が生じていた。
今回の発表によって、Google CloudはVMwareユーザーのワークロードを取り込んでエンタープライズユーザーの裾野の拡大を狙い、Broadcomはマーケットプレースという統一されたインタフェースを介して自社製品群や今後登場すると見られる共同開発ソリューションをより多くの顧客にデリバリーできるようになる。
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