IBMが生成AIモデル「Granite」をオープンソース化 日本語対応の予定は?
IBMはGraniteをオープンソース化し、それに合わせてRed HatはInstructLabを立ち上げた。このツールはGraniteを活用して生成AIの開発やトレーニングを支援するもので、今後の生成AIエコシステムに大きな影響を与える可能性がある。
IBMは2024年5月6日(現地時間、以下同)、大規模言語モデル(LLM)「Granite」ファミリーをオープンソースとして公開すると発表した。その翌日の2024年5月7日にはRed HatがIBMと共同で開始したオープンソースのプロジェクトとして「InstructLab」を発表した。
GraniteとInstructLabのオープンソース化で分かる Red Hatのスタンス
InstructLabはシンプルなユーザーインタフェースを使って個人が生成AIの開発やトレーニングを簡単に実施できるツール兼プロジェクトだ。AIモデルにはGraniteを搭載している。
Graniteのオープンソース化とInstructLabの発表は、生成AIツールが爆発的に登場する中で、Red Hatがこの技術に対してどのような立ち位置をとっているかを示している。現在、LLMの開発はクローズドなことが多いが、Red Hatは生成AIモデルやそのためのツールをオープンソースで提供しており、生成AIの民主化を広く促している。
Red Hatの生成AI基盤プラットフォーム事業部で副社長兼ジェネラルマネージャーを務めるジョー・フェルナンデス氏は米国コロラド州デンバーで開催中の「Red Hat Summit 2024」で、「今回の取り組みはここ2〜3カ月の間に急ピッチで進めました。Graniteのオープンソース化はここ2カ月で決定しましたし、InstructLabがオープンソース化が決まったのは2024年の初めです」と、スピーディーに取り組みを進めていることをアピールした。
オープンソースとして公開されているGraniteには4つのAIモデルがあり、プログラミング言語や英語に特化したものはあるものの、日本語に対応したAIモデルは公開されていない。フェルナンデス氏によると、現時点では日本語などを含めた多言語に対応したGraniteが公開されるかどうかは未定とされている。
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