MicrosoftがWindows 11「Recall」の仕様変更を発表
Microsoftは「Recall」機能の仕様変更を発表した。Recallはアプリやドキュメント、Webサイトの過去の活動を探すもので、プレビュー版は6月中旬にリリースが予定されている。
Microsoftが「Windows 11」に搭載される「Copilot+ PC」に新機能「Recall」を導入するに当たり、そのセキュリティを確保するために仕様を変更すると発表した。Recallは検索やタイムラインを通じて過去のアプリケーションやドキュメント、Webサイトなどの活動を見つけ出すことが可能で、2024年6月中旬にプレビュー版がリリースされる予定だ。今回の仕様変更はRecallのこうした機能がセキュリティリスクになるとの懸念を払拭(ふっしょく)するためのものと考えられる。
「Recall」発表当初から出ていた「セキュリティ面の不安」を解消できるか
Microsoftは2024年6月7日(現地時間)、「Copilot+ PC」に搭載予定のWindows 11の新機能「Recall」に対しセキュリティを確保するためのアップデートを実施することを伝えた。Recallは検索やタイムラインを使ってアプリ、ドキュメント、Webサイトなど過去の活動を見つけられる新たな機能。2024年6月中旬にプレビュー版がリリースされる予定だが、リリースされる前にさまざまなセキュリティ対策を念頭においた仕様変更が実施されることになる。
Microsoftが発表したRecallの主な内容は次の通りだ。
- Copilot+ PC のセットアップエクスペリエンスを更新し、Recallを使用してスナップショットを保存するかどうかの選択肢を明確化。積極的に有効化しない限り、Recallはデフォルトでオフとなる
- Recallを有効にするには、「Windows Hello」の登録が必要となる。Recallの検索機能を利用するには、Windows Helloによる認証が必要
- Windows Hello拡張サインインセキュリティ(ESS)によるデータの暗号化を追加。Recallスナップショットはユーザーが認証したときのみ復号され、アクセスが可能となる。検索インデックスデータベースも暗号化される
Recallのスナップショットに対するプライバシー保護についても説明されている。それぞれ次の通りだ。
- スナップショットはインターネットやクラウドを介さず、ローカルに保存、処理される。ユーザーのデータは安全に保管され、Copilot+ PCのAIトレーニングには使用されることはない
- スナップショットはMicrosoftや他の企業、アプリケーション、および他のユーザーと共有されず、暗号化により管理者もアクセスできない
- スナップショットの保存状況はデスクトップのタスクバーとシステムトレイのアイコンで確認できる
- デジタル著作権管理コンテンツやプライベートブラウジングのスナップショットは保存されない
- 保存内容はいつでも一時停止、フィルタリング、削除が可能でユーザーが完全に制御できる
- 管理対象デバイスではIT管理者が保存機能を無効にできるが、有効にするのはユーザー自身が選択する
RecallはWindows 11ユーザーに新たな体験を提供する新機能として華やかにアピールされている。しかしながら、発表当初から多くのセキュリティ研究者にセキュリティリスクが高いと指摘されており、今回発表のRecallの仕様変更はそうした懸念に対するものとみられる。
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